一粒の種は点から面へ広がり、種は豊かに芽吹く 鏡月 玖璃子
一粒の種は点から面へ広がり、種は豊かに芽吹く
春がおとづれる前に、世界中では、多くの人々が、心の種を静かに
芽吹かせている。たとえ、多くの人はそれに気付かないとしても。
そのことを伝えようとして、カトリック小説家鏡月 玖璃子は、自分の与えられた才
を埋もれさせずに意志を持って育てようとしている。
彼女の作品により、一粒の種は点から面へ種は芽吹き始めている。
私は小説家ではないが、そのような生き方をしたいそう改めて思う。
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彼女の初回作PANGAEA DOLL、二回目の作品Iconographを続けて、読むと、
リアルな一粒の種が、花を咲かせたのちに、散り、多くの実が結び世界中に風にのっ
て広がっていく。その光景が未完成ながら心の中に広がっていく。
私はこの春の気配が近づき、世界中が神の再臨を待ち望む時期に毎年この二冊を読
みたいと思う。
この二つの作品をつなぐのは、ヨハネの福音書に象徴される「言葉」なのだと私は思う。
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一つ目の作品は、言葉の光は遥か彼方に見える。主人公と登場人物の闇と肉と苦しみ
と分裂、神話と幻影が、多くの楽器により奏でられ、入り乱れ、オーケストセラの最
終章がおとづれてるとき、点が二つに、そして一つの点に深い位置でつながる。遥か
彼方から照らす光を浴びて、立っている主人公と著者の姿が見える。
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それから5年以上を経て、二つ目の作品は現れる。言葉そして種は、多くの登場人物
の中にすでに散りばめられ、彼らが住まう世界は絡み合い空間も時間も広がっている。
まるで言葉によって、世界が作られたように。
点と点は必ずしも交わらない、しかしその点の一つ一つの色彩は豊かで
違う色を奏でる。点と点の距離は、離れ、縮まり。また離れ、その間に光が差し込ん
でゆく。あえて、前作にある深い闇の色を薄くして、登場人物のみならず、より多く
の読者の心をひろく、照らそうとしているのかもしれない。私はそう思う。
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種は一人の心を深めそしてそこから離れ拡散し点から面へ広がり、種は豊かに芽
吹く、未完成のこの世界は 影と光を交互に織り交ぜながら作られてゆく。完成さ
れることはこの世で目にすることはできないとしても。
それども私はこの春の気配が近づき、世界中が神の再臨を待ち望む時期に毎年この二
冊を読みたいと思う。
自分の与えられた才を埋もれさせずに意志を持って育てようとしている。
自分の人生という作品により、一粒の種を点から面へ種は芽吹き始めさせる。
私は小説家ではないが、そのような生き方をしたいそう改めて思う。
ヨハネの福音書 始めにことばありき
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