誰か

どうして自分は誰の特別でもないのだろう。
誰にも好きになってもらえず、また好きになりかたもわからない。かつて好きになった時は周りに馬鹿にされてしまった。まともな恋愛というのがわからない。僕はおかしな人間だ。おかしな人間だから馬鹿にされても仕方がない。誰も僕にやり方を教えてはくれない。どういう風に接するのか、どういう風に話せばいいのか、誰も教えてくれない。みんな笑っているのだ。誰のことも信じられない。こんな風に生まれた僕が悪いのか？責任は僕にあるのか？

どうやら僕の親もこんな人間らしい。

こんな親のところに生まれてしまった僕が悪いのか？僕だって選べたのならこんなところにうまれてやしない。どこにも答えはなく、誰も耳を傾けてはくれない。早く終わればいい。早く死にたい。早く殺してほしい。寝ているうちにサラサラと粉みたいな灰みたいなのになって意識のないうちに消えてしまいたい。生きていても仕方がない。

ニュースでたまに目にする。新幹線で人を刺して殺した、警官から拳銃を奪って犯行に及んだ。少し前だけど秋葉原にトラックで突っ込んでいろんな人を刺し殺した人もいた。ああいうのを見るたびに、自分もいつかあんなことをしてしまうのかもしれないと思う。あれは僕だなとも思う。あんなことをする前にいなくなりたいなと思う。

こんなことを誰に話せばいいのかわからない。話されたところで困ってしまうと思う。僕もどうしたらいいのかわからない。ただ街を歩く家族づれや恋人同士を見るとどうしようもなく悲しくなってやりきれなくなって、どうして自分は誰かに選んでもらえる人間じゃないんだろうということで頭がいっぱいになって、悲しくて惨めでいなくなりたくなる。

誰か