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当て馬の女たちへ

いま、本棚の整理をしている。

わたしの本棚は本棚らしい本棚ではなく、クローゼットの中に列を作って並べたり、読む頻度の低いものはダンボールに詰めたりしている状態だ。

並べられたり、無造作に横積みになっている本を取り出しては、取捨選択していく。無心でそれができるのならば「掃除」をするには良いのだろうが、こちとら本の虫、そう簡単にいくはずがない。一冊一冊懐かしみながら読みふけってしまう。

ここの蔵書はほぼ少女漫画で構成されている。中学生の頃から大学生になった今までに買った数多の少女漫画(数えたことはないが1000冊くらい?)が詰め込まれている空間だ。
(ちなみに小学校以前に買った漫画は、中学受験の際にすべて捨てられた)

少女漫画を読んでいると、ひとつのことに気がつく。当然ではあるが、「ヒロインと幸せになれる男はひとりだけ」であること。

たいていの少女漫画では、当て馬が用意されて2人の男がヒロインを取り合う構図が作られている。わたしはこうした三角関係があまり好きではないのだが、恋愛にはスパイスがないと盛り上がらない…とかいう事情なのか、少女漫画にはほぼ必ずメインヒーローの他にもう1人の魅力的な男子が登場する。

彼の存在意義は当て馬になることだけだ。ヒロインにちょっかいを出して、そのうち本気で好きになってしまって、最終的には絶対に失恋する。なんと悲しい存在か。

悲しいのは彼だけじゃない。彼を応援してきた読者の女たちも、とっても悲しい。特に2人の男のうち、どちらが優勢かよくわからない漫画は本当に悲しくなる。いや、「こいつ絶対負けるな…」と思ってた場合でもやっぱり悲しいんだけど。当て馬を好きになりがちなわたしは、三角関係自体が地雷になりつつある。

当て馬になりがちな男には、わりと共通点があったりする。たとえば黒髪はメインヒーローに多く、白髪(カラーなら茶髪や金髪)は当て馬。意地悪な男(最近はやりの「黒王子」もの等)はメインヒーロー、優しい男は当て馬。女の子と遊ぶのが好きなナンパ男は当て馬。などなど。(※わたし調べ)

こういった男たちはフィクションの世界では幸せにはなれないのか?こういう男を好きになってしまう少女漫画オタクはどうすればいいのか?そんな悩みに応えてくれたのが、乙女ゲームだった。

乙女ゲームは女性向け恋愛シミュレーションゲームの略称で、男性向けでいうギャルゲーみたいなものだ。複数の攻略対象が用意されており、選択肢によって、その中の誰と恋愛をしてどんなエンディングを迎えるかが変わっていく、というノベルゲームの形をとっているものが多い。

乙女ゲームの男たちは、攻略対象に入ってさえいれば必ずヒロインと幸せになれる世界線が与えられる。いや嘘。絶対に幸せになれないゲームもあるが、とりあえずヒロインの本命として恋愛はすることができる。たぶん。

乙女ゲームは救いだった。少女漫画では当て馬にされてしまうタイプの男たちが、ここでは主役になれる。ハッピーエンドを掴める。そして当て馬の女たちは、彼が幸せになる姿を見られる。乙女ゲームと出会えてよかったー!!!

少女漫画の当て馬を好きになりがちな人たち。結末がひとつしかない少女漫画に物足りなさを覚える人たち。ぜひ乙女ゲームに触れてみて欲しい。きっとあなたも救われます。

非攻略対象を推してしまい撃沈しているわたしより。

本の話をしようとしたのに何故かゲームの話になってしまったけれど、わたしの話はこれで終わります。

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