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2021.3.8(月)

東日本大震災から10年ということで、マスコミ各社が震災から10年の”今”を伝えている。

町だったり、産業だったり、人だったり。その思いだったり。

私は、直接津波被害にあったわけでも、身近な人をあの震災で失ったりもしていない。

海から遠く離れたこの内陸で、長い長い大きな揺れと、それからしばらく続いた少し不便な暮らしを経験しただけだ。

それだけでもあの時のことを思い出すと、語りたいことは本当にたくさんある。

でも、まだあの津波で大切な人を失ってしまった人の様々な思いに正面から向き合うことができない。

それは、自分の心の中のどこにも収まらないような気がしている。

私が想像する悲しみをはるかに凌駕するもののように思えて。


沿岸で働いていた時に、津波で両親と姉を失った新人と組んで仕事をした。事前にそのことを上司から聞いていたので、家族のことには触れなかった。

仮設住宅にいたことや、それを引き払ってきたこと。近くの町にお兄さんがいること。何かの話の折にそんなことが少しずつわかってきた。

でも、上司から聞いていなかったら津波で家族を失ったことなど知らずにいただろう。

震災からは、6年たっていた。日常は淡々と続くのだ。

その彼の結婚式に出席した。ずっと、にこにこして幸せそうだった。

式の最後に彼が話をした。

『今年自分は姉と同じ歳になった。今こうして生きている自分のことを思うと、もっと生きていたかっただろうなと思う。』

そんな言葉だった。

ああ、応援するよ。

あなたのことはずっと応援するよ。


私にできることは、そう思うことだけなんだ。




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