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オリジナルコンテンツの作り方③オリジナルコンテンツに権威は必要?

117文字の漢字心理リーディングに、
少し実績も集まってきたころ、
これをデータ化出来ないだろうか、考え始めました。

例えば診断結果で、
「あなたは○○な傾向があります」とか、
「今日は○○な感じですね」というのを、
言葉だけではなくレーダーチャートか何かで結果が分かれば
もっとわかりやすく伝えられるのに、
など考えていました。

でも、そのためには診断の基準値を決める必要があります。
その基準値を決めるためには、どんな要素が必要なのだろう、
ネガポジ、静動、上下、現在過去未来を数値化できるだろうか、
なんてあれこれ思い悩んでいました。

その機会が訪れたのは心理実験のスクーリング授業です。
(※わたしは放送大学で心理学を学んでいます。)

心理学を学ぶうえで質問したいことがあれば、何でも聞いてくださいと言われていたし、講義で心理データの集計方法についても触れていたのもあって、
後日、思い切って担当した講師に漢字診断の概要と一覧表をメールしました。

返ってきた返事は、一度大学の研究室へきてください、とありました。

そうきたかー!と思い、
どんな話になるのだろうと、期待や妄想を膨らませながら、
これまでのデータを持って堂々、その教授を尋ねました。

彼はわたしの話を一通り聞いた後、
現在研究されている文章分析法のテキストマイニングについて、
一人ひとりが無限に持っている言葉から想起する意味世界について、
そして心理テストに必要な心理尺度について説明をしました。

テキストマイニングとは、言葉が心、心が言葉をという曖昧な概念ではなく、
大量の文章データから、自然言語解析の手法をで文章を名詞、動詞、形容詞等に分け、それらの出現頻度や相関関係を分析する方法です。
文章の書き方のクセで有名文学作品も、最初と最後では作者が違うのではないかという論争もあるそうです。

また意味世界は、同じ言葉一つでもその時々によってイメージすることが違うという、むしろ117文字の漢字で読む心理リーディングの根幹です。
ただ、この分野はとても難しく、脳科学とともに最近ようやく研究され始めたそうです。

そのほかにも、聞き手が「話し手が伝えたいと思っている意味を理解できるのはどうしてか、を研究する語用論の話もありましたが、どれも
これが私の研究対象です!とスッキリ言えるものはありませんでした。

漢字心理鑑定は読むというよりもどちらかといえば、インクのシミを見て何を想像するか、などの投影法に近いように思います。
それを教授に伝えると、彼は「確かに。」と頷きながら、
「ただ、現在の心理学者たちの間で、投影法については賛否両論があるのです。」
と言いました。
そしてさらに、
「心理テストや鑑定には、「心理尺度」という、人の心理や意識、行動傾向といった抽象的な概念を定量化するために用いられる基準があって、だからこの心理テストは妥当性と信頼性があると認められるのです。」と続けました。

要するに、私の漢字で読む心理診断には妥当性と信頼性がない
解釈は全てわたしの頭の中だけにある理論である。
このままでは心理診断やテストとしては使えないし、データ化も出来ない

ということでした。
もちろん、教授は反論を待っていたと思います。
私には反論する余裕はありませんでした。

そして、もしこれを心理テストの域まで高めたいのであれば心理尺度について調べてみてはどうですか、と言われました。

ただものすごい数の尺度があって、それを調べるだけでも大変である、
尺度に当てはめることができたとしても、その他にもサンプルを集めたりも必要で
ひとりの力ではとても無理だろう。
それでも研究を進めたいのであればいっそ、卒業研究として取り組んでみてはどうだろう、そうすれば大学としてもある程度協力することが出来る、

これが教授の提案でした。

一瞬、胸が高鳴るのを感じました。
論文として発表できる!
この117文字の漢字心理診断に権威が入る!
オリジナルを超えることが出来るかもしれない!

気持ちはほぼ決まっていました。
だから、大学からの帰り道もずっと、何から始めようかと、いろいろ思いめぐらせていました。

が、しかし

その日に見た夢は、職場で報告したときのみんなの戸惑い顔。
そしてそれは正夢でした。

「その研究って本当に必要なのかな?本当にやりたいことを割いてまでする必要あるの」
「誰でも鑑定できるようになっては、オリジナルではなくなるんじゃないの?」

自分の心の中に何か引っかかりがあって、それが夢に出たでしょう。
権威を持つことなのか、オリジナル性を保つことなのか、

私にとって権威とはその道のプロにプロとして認められること。
私の中に根付いている、承認欲求です。

正直、今でも私の心は揺れています。

次回は、形があってこそ説明できる、117文字の漢字で読む心理リーディングハンドブックづくりについて書きますね。


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