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新築物語① 80歳の挑戦

80歳の母が、家を建てたいと言い出したのは数年前のこと。
大きくて古い我が家に、そろそろ限界を感じていたらしい。
確かに断熱効果はほとんどなく、水流もイマイチ。
2回ほどリフォームをしているけど、建物全体の古さが顕になってきた。
それでも人生最大で最後の大出費、終の住処になるようにといろいろ思い巡らし、
簡単には決断できなかったらしい。

もちろん不肖の娘(わたし)は口出し出来るはずもなく、母の計画に従うことに決めた。

最初に動いたのは2022年夏。
母の従兄弟の息子さんだという大工さんに連絡をとり始め、
母の新築計画が始動したように見えた。
ところがコトはそう簡単には進まなかった。
設計図や見取り図が届く頃には世界情勢が悪化。
資材不足や物価高騰など、課題がどんどん積まれていった。
母も大工さんも今は動かず長い目で見ましょうと合意。
建築計画は頓挫、とりあえず1年待とうということになった。
今なお、世界情勢や経済情勢は悪化のままだ。

それでもコトは動く。
コトのきっかけは、今年のお正月に見た1枚のチラシ。
大手建設会社のお年玉企画が母の目に留まった。
「話を聞くだけだから。」と母。
腰の痛みも押して、出かけていった。

建築会社側も正月早々にじっくりと話を聞きにきた客を、放っておくことはない。
数日後、当選ですとの電話が早速かかってきた。
大手会社の手回しの良さ、仕事の速さ、準備の良さに、
あれよあれよと巻き込まれ、母の新築計画は一気に現実のものとなった。

(ちなみに、母の従兄弟の息子さんの大工さんには、書面で丁重にこれまでのお礼と一緒にお断りをしたそうです。こわっ)

さすがの母も急展開に、自分と体力と支払いが心配になったらしい。
結構、オロオロしていることもあった。
でもある日を機会に腹を括ったらしい。
建築会社の営業マンともすっかり仲良しだ。
ショールームまでドライブしたり、
測量の人とも話し込んでいた。

そしてあっという間の本契約。
もちろん、不肖の娘は蚊帳の外です。


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