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【投機の流儀 セレクション】コロナ禍での投資戦略には銘柄別に見る眼が要る

全体の流れの読みを間違えれば、激流に逆らって泳ぐのに似て効果が上がりにくい。流れに乗ってさえいれば泳ぎの下手な人でもある程度はいい線は行く、したがってマクロを見極めることが極めて重要だ。このスタンスは本稿では一貫して崩さないつもりであるが、コロナ禍でのもとでの投資は過剰流動性のもとに上がり続ける相場であるし、グロース株とバリュー株が交互に入れ替わるし、大型株と小型株がまた交互に入れ替わる、このような姿であるからミクロに分け入って見なければならない。また、一切手を引いて次の大きな調整があることが待つことも一手ではあろう。
超長期に見れば日経平均は2~3倍になるのは数年単位で見ればいくらでもある。しかし、その間に大きな調整もいくらでもある。この大きな調整に備えて一切手を引いて換金して待つか、あるいは「鳥の目」(鳥瞰して全体を見渡す目)を持ちながらも「虫の目」(草の根を分け入って細部を探す)を持ちながら綿密に行動するか、いずれかであろう。株価指標面では割安と見られたバリュー株の水準訂正がかなり進んだ。バリュー株の代表は利回りでも採算が合う銀行株である。ちなみに、三菱UFJ銀行の動きを見れば3月も月足陽線で終わるだろうから5ヶ月連続月足陽線となり、5ヶ月連続月足陽線は2018年の老年期相場以来のこととなる。
コロナが収束すればやがて客は戻り収益は戻ると確実視されている三越伊勢丹株(3099)の三菱UFJ銀行株もともに日経平均の上昇率を大きくアウトパフォーマンスした。一方、グロース株の代表だったエムスリーは3月で8%大幅下落して日経平均とデッドクロスを演じた。代表的銘柄の中でも互いにこのような跛行相場が生じている。理屈から言えばこうなる。「金利の上昇→株価は将来稼ぐ価値から現在価値を割り引いた価格だから割引率が上がる→グロース株には不利」となる。一方、バリュー株の代表である三菱UFJ銀行の例をとれば、三菱UFJ銀行に定期預金しておいても100万円でおにぎり1個しか買えない。三菱UFJ銀行の株を買っておけば、おにぎりが250個買える。では、グロース株を全部売ってバリュー株に乗り移るという考えは良くない。これは三越が500円台の頃に三越を売ってマザーズにでもしようかという意見に対して「動画」で筆者が大いに反対してむしろ三越はここで買い増しするところではないかとこたえたことがあるが同じ考えである。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)週末の状況は大いに示唆に富む今後の激変
(2)週末の市況が象徴すること
(3)18日の米中外交トップ会談
(4)コロナ禍での投資戦略には銘柄別に見る眼が要る
(5)RIが3月11日時点で1ヶ月前から大幅に低下した
(6)TOPIXが「鉄壁の上値抵抗線」を破りつつある――30年間、何度も挑んでは跳ね返されてきた「鉄壁の上値抵抗線」
(7)マザーズ市場の低迷は売られ過ぎサインが点灯
(8)一方、米では「炭鉱のカナリア」が金融環境の悪化を告げている
(9)FRBの動向と米国経済――今年の半ばには米は日本欧州に先駆けてコロナ前の水準を取り戻す動き
(10)米市場内部要因の指標の一つ「ヒンデンブルグの予兆(ヒンデンブルグオーメン)
(11)自民党大会3月21日、五輪の聖火リレー3月25日開始予定
(12)菅総理とその子息の事件について
第2部 中長期の見方
(1)22年3月期の業績 ――今のPER28.7倍は過去5年間の平均17.3倍に相当する
(2)米長期金利が1.7から2%と高めに推移しドル高円安が進みやすい、この状態での株式市況――期待通りに「幕間を入れてから次の大相場へ」ということは難しい
(3)強気派(年内3万9,000円)と慎重派(今はバブルだ、崩壊後を考え)の要約
(4)「日経平均3万円」を「90年8月以来」というナンセンス。「88年12月」と比較するのが正当である
(5)バイデンの経済政策
(6)警戒派の代表学者サマーズ元米財務長官
(7)バイデン時代では国際情勢の安定は遠のく
第3部 コロナ後は明るい未来が来る
(1)新年度開始前に設備投資増額見込む
(2)アフターコロナの日本
(3)アフターコロナで世の中はどう変わるか?
(4)コロナ危機は明るい未来を拓くという考え方
(5)武者陵司氏は「2034年に日経平均15万円」と言っているが驚くほどのことではない


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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