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【投機の流儀 セレクション】この異常事態に今の位置に張り付いている日経平均は「異常」だ――今はバブル相場の一種だといえる

株価の位置は「異常」も「正常」もない現世的なものであるが、後年、振り返って「あのときは異常だったな」と思える事態が何度もあった。今は、それではなかろうか?という問いである。
少なくとも日経平均で見ていては個々の銘柄は分からない。仮に、日経平均そのものを買うとすれば今買えるか、という問いである。では、今、日経レバレッジを買う気になるか、ということに尽きる。

コロナ感染が拡大して「第2波による二番底が来る」と3月19日の大底の後の急反騰した間に言われていたのが一般的通念だった。ところが、現在第2波が来ているにもかかわらず急落も大幅下げもなく上昇もなく最高値圏の95%台のところで定着している。異常事態でありながら最高値圏の95%の場所に先週末はとどまっていたということはこれ自体が中長期的な株価の位置としては「異常」である。

過剰流動性相場と言えばバブルの一種で、大商いを伴って中期的には暴騰する場面を連想するが、今の活気のない膠着相場自体が既に過剰流動性相場のしからしむところだと言える。
景気を感知するにはある程度の時間を要する。これを市場は承知している。業績悪も4~6月の結果はおよそのところが出た。これが最悪の状態であろうと思われるが、その回復時期も見極められないままにいる。日経平均で言え、そういう状況の割には割合高値圏内に張り付いているということになる。
よってこれからは日経平均は無視して個別銘柄の時代に入る。しかし、日経平均が何割も下がればどんな銘柄でもその影響は必ず受ける。また、日経平均が何割も上がればどんな銘柄でも必ず上がる。したがって、やはり大勢観というものは見ていなければならないと思う。

一般にメディアでも日経平均を取り上げるから本稿でも日経平均と言っているが、本当はTOPIXの方が正確ではあろうと思うが似たようなものだ(ちなみに1960年に旧経企庁が景気動向指数を創設した時に景気の先行指標として取り入れたのは日経平均ではなくTOPIXであり、その後も現在までTOPIXである)。

国内のコロナ感染者は3万人を超え増加ペースは加速している。一日の新規感染者数は4月のピーク時をもちろん上回っている。米国では感染者が400万人を超えた。日本の3万人の比ではない。そして、終息の気配はない。しかし、景気の戻りも相場の戻りも日本より米国の方が強い。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)海外勢の10ヶ月ぶりの買い越しと「安倍一強」の揺らぎの中での閑散
(2)当面の市況:実勢悪に比しては穏やかな市場
(3)先週の市況の様相――所謂「夏枯れ」と言われ続けてきた現象が今になってやっと現れたか
(4)6月の戻り高値を8月に抜いて以降の変化
(5)17日発表の4半期別の4~6月のGDPは1980年代以降、最大落ち込み
(6)6月と8月の2万3000円台でWトップの形成と見て下値を測れば
(7)「官製の株高、先走る市場」
(8)この異常事態に今の位置に張り付いている日経平均は「異常」だ――今はバブル相場の一種だといえる
(9)米国の7~9月期の回復ペースは楽観視できない
(10)キン価格が上昇傾向にあったのは、このキン価格上昇の裏にドル不信
(11)米経済指標には強弱が入り混じっているが金融・財政政策による過剰流動性
(12)回復と停滞を繰り返す米経済
第2部 中長期の見方
(1)コロナ終息後ノーマルな状態になると「貯蓄病」に走り、バランスシート不況の恐れが出る(R・クー)、財政出動の必要性と13年制定の「国土強靭化基本法」による10兆円規模のインフラ強化需要
(2)中長期の見方:所謂「バフェット指数」(★註)(★註)W・バフェット指数についての補足
(3)中長期の見方:日本のGDPがコロナ前のレベルを回復するには24年になる
(4)米経済の回復の度合いについて
(5)欧州の景気回復が米国よりも早いという見方がある
(6)トランプとバイデン
(7)日本株の長期保有者は日銀と海外勢になってしまう
(8)日本の「一人当たり個人金融資産」と「個人金融資産/政府債務、の割合」、世界34ヶ国の比較で
(9)中国の対日心理戦の巧妙な罠――トランプの駆け引きなどは「孫子」「呉子」「六韜三略」や「韓非子」の狡知・奸智に比べれば他愛もない
(10)日本国の弱体化は官僚の弱体化にあるという問題点
(11)成長率の格段の差
(12)日本企業のデジタル化の遅れの淵源を野口悠紀雄(元一橋大学教授・東大工学部卒)の言葉を要約してのゼミ友の論客N氏の解説
(13)政界に関するミーハー族的話題
第4部 読者との交信
(1)剣道錬士(★註1)のI様との交信(8月15日)
(2)読者であられ「動画」の会員でもあられるK様との交信〈14日〉」


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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