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【投機の流儀 セレクション】1000人の投資家はどう動いたか、及び超富裕層の中の賢人たちの動きと、昔懐かしい「1億総中流時代」

富の二極化、格差の拡大、これは反エリート主義や大衆迎合主義と結びつき、国内に断層を広げて政治も経済も不安定化させる。トランプ時代に富の格差は拡大した。
かつて国際秩序が安定し、経済活動の拡大が繁栄を生んでいた米国覇権の全盛期を「パクス・アメリカーナ(米国による平和)」と呼ばれた時代があった。
今はトランプ時代とコロナによって富の格差は極端に拡大した。が、巨大な富を持つ人々の中にも賢人はいる。米複業企業の総帥チャールズ・コーク氏や米ウォルトディズニーの共同創業者の孫のディズニー氏たちの超資産家約100人が「私たちに増税を。すぐに大幅に恒久的に」と公言している。彼ら巨富を持つ者で賢人である者は、このままで行けばいずれ自分たちにしっぺ返しが来るに違いないという恐怖を持っている。巨富を持つ者の中にも賢人はいるからだ。古代ローマの中でネロのような暴君もいたし、賢帝と呼ばれたアウグスティヌスのような哲人帝王もいた。富める者の中に賢人がいてそのうちの100人が連合して「富める者に増税を」、「大幅に恒久的に」と要求するということは、格差がこのまま拡大すれば我々にしっぺ返しが来る、アメリカがアメリカでなくなる、ということを富める者の一部の賢人たちは承知しているのだ。

コロナ禍で巨大な断層が出現した。約2000人の超富裕層の資産が200兆円増加した。2000人で200兆円の増加である。若林栄四氏は京都大学出身で旧東京銀行で巨大な為替利益を上げた「伝説のディーラー」と言われた賢人であったが、数年前に「この醜悪な格差は市場が天罰を下さなければ収まらない。よってNYダウは今の2万ドルが6000ドルに下がる」と講演でも述べ著書も出していた。結果的には相場の見通しは大いに誤ったが、自由・民主主義・機会均等というような「社会的価値」は格差・富の偏り・それらがもたらす市場の崩壊というような「経済的価値」とをトレードオフの関係で考えてはならない。それは経済学の公理を無視するもので思考停止状態に陥るものである。ここでは社会的価値を述べた。社会的価値と経済的価値を一緒にすると若林栄四氏(★註)のような結論になってしまう。
(★註)筆者は彼を非難しているのではない。相当前から為替ディーラーとしての若林栄四氏を畏敬し、彼のセミナー会員にもなり、講演も何度も聞きに行ったし、彼の著書も全部読んでいる。結果的には相場の見通しはほとんどはずれている。しかし、彼には彼一流の一貫した考え方がある。筆者はそれを買うのだ。

【今週号の目次】
はじめに 恒例の日経20著名人のアンケート
第1部 2020年を振り返る。市場は過去を記憶して動く

(1)昨年度を振り返れば・・・
(2)昨年の日米市場
(3)昨年末の姿
(4)年末の様子:過熱感が薄まったところへ薄商いに中での大幅高。値がさ株がリードした11月と異なり12月は大型株の景気敏感株などに資金が流入した
(5)2020年という年は個人好みの銘柄(個人株主が30万人以上いる銘柄)のマイナスが目立った
第2部 菅政権の政局
(1)株高には政局の安定が必須条件だ――菅支持率にデッドクロス生じる
(2)内閣支持率42%に急落、不支持が逆転、デッドクロスが生じた
(3)菅首相の必須の外交最優先事項
第3部 1000人の投資家はどう動いたか、及び超富裕層の中の賢人たちの動きと、昔懐かしい「1億総中流時代」
日経ヴェリタス紙12月27日号で5ページわたる記事のポイントを簡潔に要約する
(2)超富裕層の中の賢人たちの意
(3)「1億総中流時代」と「景気後退期の格差拡大」
第4部 丑年縁起:続き
(1)丑年縁起、Ⅲ
(2)丑年に潜む『つまずき』のリスク
(3)2021年の見通しは過去をなぞらえばこうなる
第5部 その他、スウェーデンの失敗の話しと、これとは無関係だが米国は尖閣諸島を守らないということ
第6部 読者との交信蘭

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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