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【投機の流儀 セレクション】「目指せ、10倍株ハンター」

これは日経ヴェリタス紙(日経金融新聞)の12月5日号の第一面のトップの大きな見出しである。この新聞も所詮は商業新聞であるから投資家の目を引くようなことを書くのは別に悪いことではない。
但し、ここで少し筆者として私見を述べたい。「10倍株(テンバーガー)」は「人の行く 裏に道あり 花の山」という格言のように、裏道にある掘り出し株や穴株を探すことを想像する場合が多いが、筆者が読者諸賢にお話ししようと思うのはそういう話しではない。本稿で言うところの「大通り銘柄」(これは標準語ではないかもしれないが筆者のパートナーの石原健一氏が「人の行く、裏に道あり・・・・から探してくる穴株」に対して使った言葉である。大通りにあって誰でも知っている著名な株を言う。この中にも10倍株はあった。これからもあるだろう。例えば、ソニーだ。1,000円割れのものが1万4,000円台になった。例えば、日本郵船や商船三井などの海運株だ。去年の春から見れば10倍以上になった。もっとも短期間で4割下がってその下がった分のまた半分近くを戻ったが。
ソニー・日本郵船・商船三井などは所所謂「大通り銘柄」の代表銘柄で「経団連銘柄」である。こういうものも10倍にはなっている。但し、10倍まで持つ人はほとんどいないだろう。筆者も10倍まで持っていたことは一回もない。ここで前掲紙??の文言を引用する。「無配とした・・・・翌年に増資を実施し、株主には大きな負担をお願いしたとソニーグループの吉田憲一郎会長は10月に講演で語った」とある。これと似たことが筆者は極めて身近な銘柄で大通り銘柄で本当に10倍まで持っていたことがあった。身近なもので大通り銘柄で内容が良く判っていて安心できるもの、これを10倍まで持っていたことが一回だけあった。東急不動産である。これは先に引用したソニーCEOの説明と極めて似ていたことがあった。2002年のことだ。東京の汐留で事業費1000億円のビルを建設した時、開発資金を補うために市場で公募増資を決めて400億円を調達したが、その時に発行株数が増えると言って株価は下がった。株主に迷惑をかけるが理解を乞いたいと同社の経営陣は白刃の上を素足で渡る思いで株主と向かい合って説明した。当時多くの企業が投資するのは株価下落の元凶だとして増資を避け、成長資金を調達する役割を敬遠してきた。この時代に東急不動産がとったスタンスは違った。ここを筆者は買った。もっとも、これは身近な銘柄だった。筆者が 春の数日を軽井沢で過ごし毎夏3~4週間を蓼科高原で過ごす会員制ホテル(ダイニングキッチン付きで家庭生活と同様な生活ができる)は東急不動産が開発したものであり、運営も東急不動産だったから良く判っていたし、また、東急不動産の役員をしている人が筆者の友人の中に2人いて、内容を良く知っていたからである。そうでなければ10倍になるまでは持たない。これは121円から買い始め、1年後に55円まで下がったのを株数を増やしながら買い集めていって 結局は平均して10倍近くになるところを売った。拙著「カネ持ち大学教授が書いた 株で4倍儲ける本」という下品なタイトルで2006年に著したところの102ページ103ページに取引の詳細が出ている
この下品なタイトルは筆者は付けたくなかったが、出版社がこのタイトルでなければ出版しないと言ったのでやむなく折れた。今は後悔していて絶版にしている。中味はタイトルの割に真面目なことが書いてある。平易で真面目なことが書いてあるから、できればAmazonか何かで探して御一読いただければ筆者が今述べていることは2006年当時、 15年前から一貫していることがお分かりだと思う。

【今週の目次】
第1部 当面の市況

(1)週明けの市況コメント
(2)米消費者物価指数11月急騰→量的緩和のペースを速める→利上げ早まる?
(3)年金資金が昨年3月の大底以来の買い越し――年金資金がコロナ相場の1.8倍上昇に向かった昨年3月の青春期相場の始動点以来の買い越しになった
(4)外部要因と当面の市況
(5)当面の市況と中長期の見方
(6)岸田政権と安倍政権の経済政策の根本的な違い
(7)当面の市況
(8)自律反騰――2日で900円上がって2日連続整理気分、週末は25日線はマイナス1.88%乖離
(9)「日経平均年末は2万8,704円」
(10)パウエルFRB議長再任後の株式市場
(11)パウエルFRB議長の「転向」、または「変節」
(12)米FRBの動向
(13)円安と株価
第2部 中長期の見方
(1)岸田政権の経済政策を巡る言葉の弱さと説明不十分
(2)過去最大の経済対策を実施しても市場は反応薄だった
(3)バイデン・習近平会談には成果があったとする見方をとろう
(4)米中と日本の関係
(5)「目指せ、10倍株ハンター」
(6)オミクロン株の蔓延に思う
(7)「コーポレートガバナンスの重要性」と「それを打ち破るぐらいのイノベーションの重要性」
(8)脱炭素と原発政策の関係と東電株
第3部 読者との交信欄
(1)岡山のO様との交信(10月14日受信、10月15日返信、10月31日追伸)への確認メール
(2)古くからの読者WT様との交信

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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