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【投機の流儀 セレクション】岸田政権に揺らぎが起こるとすれば?

①自民党内での不協和音であろう
岸田首相が総裁選で訴えたものは「新資本主義」(新自由主義を脱した世界)であり「金融所得への課税強化」であったが、これは小泉政権の結果を否定し、アベノミクスの否定につながる。岸田首相は、株式市場の反応を「人の話しを聞く特技」として受け止めたのか、この二つを急速にトーンダウンさせた。自民党の選挙公約も高市カラーが色濃く反映された。
安倍元首相は岸田政権誕生に影響力を行使したが、麻生元副総理とは人事面で明確な違いをとった(麻生氏は祖父吉田茂が宏池会のルーツである)。宏池会には元々は護憲のバックボーンがあったはずである。宏池会から出た初代総理は池田勇人氏であったが彼は「吉田学校」の優等生的存在であり、精神的なルーツは吉田茂から出ているからである。ところで、その護憲の旗印を岸田首相は降ろしてしまった。幹事長には麻生派の幹部である甘利明を指名、ところが、甘利氏は応援演説に力を注ぎ自分の選挙区は後回しにした。少々迂闊だったと言えばそう言える。岸田・麻生の両派と谷垣グループの大同団結の動きが起こるであろう。細田派の派閥創設者は福田赳夫の系譜である(福田赳夫の秘書が小泉純一郎だった。小泉政権の補佐役が安倍氏だったという関係)。

森友学園問題での公文書改竄・桜を見る会の問題など安倍元首相は重い課題を背負っている。ロッキード事件で「手負いの獅子」となった田中角栄が田中派膨張作戦を展開したのと同じ構図が想像できる。
岸田首相は来年の通常国会閉幕直後の参院選も宏池会から出た宮澤首相と似た経路をたどることになる。宮澤は国会閉幕後に実施された参院選で結果を出した。自民党内では官房長官と国対委員長と幹事長との三者協議を継続的に開いてきた。この三者協議が政権運営にとって外せない課題をその都度処理し対応してきた。ところが、岸田政権はこの会合を就任後11月5日現在、まだ一度も開いていない。

②岸田政権に開成高校閥?
開成高校は40年間連続で東大合格者は最多数出してきた高校である。そも
そも東大は官吏養成大学的な点が多いから、世襲議員になった岸田首相の周辺
には開成卒が多いのは当然の結果となる。岸田首相の周辺が開成OBで固めら
れた結果になった。約200人が出席した「永田町・霞ヶ関開成会」は4年前に
設立され、その時に岸田総理誕生が開成OBの悲願であると言われた。これも
安倍元首相にとっては愉快なことではない。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)はじめに
(2)政権・政策・株価の関係
(3)金融相場的様相から業績相場へ
(4)選挙後の市況
(5)信用買い残が2週間連続で増加
(6)政策と株式市場
(7)国内勢は10月は外債売り越し
(8)円安傾向
第2部 中長期の見方
(1)常に脳裏に置かなければならないリスク、①FRBの動向、②中国経済の
問題は恒大問題ではなく実勢悪による日本への悪影響、③日本の景気回復が予定通りではない
(2)岸田政権に揺らぎが起こるとすれば?
(3)能吏は必ずしも大将として適格かどうかは別問題。岸田政権は外交安保にも本腰を入れなければならない
(4)岸田政権が企業統治の劣化要因をつくるか?
(5)中長期の見方―武者陵司氏の見方
(6)日経商品指数42種が4ヶ月連続して上昇、過去最高値を更新
(7)日本経済、GDPから見れば反発力乏しい
(8)インフレかデフレか、両者併存の呪縛にかかる
(9)日本経済の基本的な問題は長期停滞にある
(10)「協調性なき新興国連合の末路」
(11)中長期に見た日本株
(12)この10年間で時価総額10位以内にある企業のうち東京都に本社がある企業が大きく減った
第3部 別便・週報(リーダーシップについてのKさんのご質問に対して)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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