【投機の流儀 セレクション】銀行株は中長期的に受難時代――長期的には大底を買える好機と見るか
6月9日・10日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)においてはゼロ金利政策を22年までは行うと決定された。パウエル議長は「金利を上げることは考えることさえも考えない」と言ったという(各メディアによる)。
今回のFOMCでは米国債の利回りを一定水準以下に抑え込む長短金利操作が決定されるか否かにも注目が集まっていたが見送られた模様だ。しばらくは低金利が続くと見なければならない。これには色々な功罪がある。概括的に業種別に見れば、最も苦境に追い込まれるのは銀行業だ。長短金利操作は財政拡張で長期金利が上昇しやすい中で一旦は話題になったが、今回はそこからかなり距離を置いたことになる。我が国では10年債の利回りを低利に抑え込む政策には極めて副作用が多い。銀行業に集中的に現れる。メガバンクの株がそろって振るわないのはもちろんそれを反映している。
FRBが長短金利操作を採用すべきでないと決めた背景、これには今後の経済回復の道のりが長く険しいことを背景にしている。前回のFOMCでパウエル議長は「回復への道のりは長いことに対して我々は正直にならねばならない」と発言したと伝えられる(週刊ダイヤモンド誌6月27日号)。
実際にはリーマンショック以降11年以上もインフレ率が目標の2%を超えなかったことは事実だ。「我々は利上げを考えていない。いや、利上げを考えることさえも考えない」(パウエル議長談)。
【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)当面は下値は浅いが上値は重いというボックス相場
(2)新型コロナウイルスの感染拡大懸念と日米欧は下値を探る流れになる可能性あり上値は重い展開となろう
(3)夏場は元々投資家の売買が減り、相場が不安定になりやすい
(4)企業の資金繰りはどうか
(5)マザーズ大幅安
(6)マザーズ指数凋落と第一市場
(7)東証マザーズ、8ヶ月ぶりの高値を付けた、しかしマザーズの活況が第一市場の大相場を誘発することはまずはない
(8)6月の市況を振り返れば;3月19日を陰の極として6500円戻して、2万3000円台を三日間つけたが7月第1週は25日線の下で終わった
第2部 中長期の相場
(1)下期相場
(2)銀行株は中長期的に受難時代――長期的には大底を買える好機と見るか
(3)「新型コロナウイルスの流行は野球に例えれば今はまだ2回戦の表」
(4)当面の市況から将来を占えば
(5)トランプとバイデン
(6)トランプ再選の危機
(7)大統領選挙の5ヶ月前に放たれた「ボルトン砲」の破壊力
(8)「中国マスク外交の誤算」
(9)世界の覇権循環と株価循環
第3部 読者との交信蘭
(1)昔からの読者Yさんとの交信(6月29日)
(2)古くからの読者であられる仙台のN様とのメール交信(7月1日)
【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi
【著書】
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