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【投機の流儀】資本市場に疎い岸田さんは、現象面を見て勉強せよ

第1部 当面の市況

本稿の基本原則――本格的に「自分のお金に働いてもらう」時期は、今ではない
「お金に働いてもらう」「時間に稼がせる」
こういうことが中長期投資の本分だと思うが、そのために主力部隊を稼働させるのは、今ではないだろう。主力戦力はキャッシュポジションを高めに堅持して、今後景気が「後退期」から「収縮期」に入って「谷」を迎える前に、(後ごの先せん)を取って「収縮期」の入り口半ばぐらいで主力部隊を出動させ、ここから先はお金に働いてもらう。
そこから先は、本稿で言うところの所謂青春期相場であり、木佐森吉太郎の言う「理想買いの相場」である。現実は暗くても先に光明が見えれば厳しい現実の中で大量に買う。「吹雪の中で雪の中から一輪だけ芽を出した雪割り草の一輪を見て人は春爛漫を想定する。そこは厳しい現実ではなくて豊富なる可能の世界である。人はこれに夢を鼓舞され全力投球して買う。故に、何でも上がる。これが青春期相場の本質だ。」
これは原文の文言と正確には少々異なるかもしれないが、木佐森吉太郎の「新株式実戦論」(★註)で言う青春期相場(理想買い相場)の本質である。この本に青春期相場の本質を述べた文言がある。この時にこそ、主力資金を投入しようと呼びかけたい。しかし、それは一昨年3月(16500円)で既に過ぎた。次の時期を待つべきだと思う。今はそれを待っている間に、次の間合いを外さないために「一足一刀の間境(まざかい)」(一足踏み込めば我が太刀が相手に届く、その間合い)を保って相場と対峙する時期だと思う。
基本的には、難しい時には本気では手を出さない。しかし、一足一刀の間境を保つためには、相場から離れてしまっては機を逸する。そのためにゲリラ部隊を少し(少しと言っても、人によって資金の2割の人もいれば5割の人もいる、そこに原則論はない)を動かしておくことが、次の青春期相場を狙う者の言わば「嗜み」である。これを最初に言いたい。今後、中長期の見方・当面の市況の見方などを述べる場合は、以上述べたことを前提として述べている。
投資家として見る場合は、短期売買と中長期投資の峻別が必要であると思う。短期売買の機会はいくらでもある。趨勢的に下落する株価でも、景気後退期でも、収縮期でも、必ず中間反騰は何回もあるからである。しかも中間反騰こそ、上昇局面においては力強く見える。いずれは中間反騰だから、全体としては前の高値は抜けない。「命短し 恋せよ乙女」ということで、短期間だからこそ燃焼する。これを本格反騰の走りと見てはならないであろう。その区別は、やはり景気動向である。景気は循環する。この循環の中において、今が「回復」「拡大」「山」「後退」「収縮」「谷」のいずれにあるか、中長期的な投資から言うと、これの見分け方が一番の基本である。

(★註)1960年代に新版が出る前に、旧版が絶版になっていたものを京都大学の大哲学者西田幾多郎博士が
「哲学の本として読める」と言い、都留重人博士が「市場経済の深奥を判りやすく述べている本として読め
る」と評したので、東洋経済新報社が「新株式実戦論」として再版されたもの。筆者が読んだのは1962年
だが、再版後の第8版だった。野村証券入社2年目の筆者は繰り返し精読した。
*【御参考:週報(罫線資料版)掲載の概念図】
市場サイクルの中で、今どの局面に位置し、どういった投資姿勢で臨むのかが重要である。
「勝ち易きに勝つ」青春期相場を捉え、そこで全力投球することに、本稿では最も重きを置く。

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