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【投機の流儀 セレクション】8月の金融市場はショックが起きやすい

大幅高の日に不吉なことを云うようで恐縮だが、8月の金融市場はショックが起きやすい。「偶然の8月」であって、そこに必然的な季節性はない。
1998年の「ロシア危機」、2007年の「サブプライム・バブル破綻危機」(これが翌年のリーマンショックを生んだ)、 2011年の米国債格下げショック、2015年の人民元ショック、古い話しでは1971年8月のニクソンショック(戦後続いていた固定為替制度をいきなり変動為替相場制に転換して金兌換を停止した)、等々8月には海外発の金融ショックを受けやすい時季であり、過去20年間の日経平均の月別の上下を調べれば8月という月は圧倒的に下がる方が多い。

1979年に伝説のボルカ―・ルールが出てFRBがインフレファイターとして総力戦を宣言した。NYダウは暴落した。FRBの政策目標を金利操作から金融機関の資金量の切り替え、特に銀行の融資打ち切りを優先すると発表したのだ。
現在のパウエル議長はわずかでも利上げ停止の希望の光が見えればチャンスを逃すまいとして株は上がる。これを見かねて金利操作の軸足を金利上げから量的引き締めに移すことにした。NYダウは2022年に入ってから3万7,000ドル弱から3万ドルまで大きな中間反騰を繰り返しながら趨勢的には上値抵抗線も右肩下がり、下値支持線も右肩下がりになってきた。

どんな下げ相場でも中間反騰は必ずある。これは本稿では繰り返し言ってきた。NY市場で言えば3万7,000円以降今日まで、大きな中間反騰は5回あった。今5回目で上値抵抗線に迫りつつある。どんな下げ相場でも中間反騰はあるが、中間反騰の定義は前の高値を抜かないということだ。個々の銘柄で言えば全く異なる。平均株価のことを言っている。


【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント
(2)週末の大幅高、大商い金額
(3)23年3月期通期の予想ベースでは企業数で62%企業がコロナ前を上回る純益と見込まれる
(4)日経平均の1ヶ月後の予想が半年ぶり高水準
(5)国内のファンダメンタルズは決して悪くない
(6)8月第1週の週末で日経平均、2ヶ月ぶりで2万8,000円を回復
(7)8月の金融市場はショックが起きやすい
(8)今回の岸田内閣の組閣から見えてくるもの
第2部 中長期の見方
(1)野村が日本株強気論のシナリオを修正した
(2)世界の企業業績は7四半期ぶりに減益
(3)デフレ脱却は出来る
(4)「歴史は繰り返さないが韻を踏む」――25年前は日本発。今回は中国発か
(5)外交以外の手段で遂行する政治の延長が戦争である
(6)米政治家の老化現象――習近平にしてやられるなよ、と言いたい
(7)ドイツが原発ゼロ政策を見直―この事実はやがて東電株にも波及する
(8)財務諸表に直結する人材力‐「『人への投資』が企業価値を左右する」
(9)GNPとGDPとGNI
第3部 株価変動と景気循環との関係
1:戦後16回の景気循環と株価変動(戦後32回の景気動向変化と株価方向変化の比較表)
2:高低のレベルや景気変動の高度深度は無視して専ら方向のみを見るグラフ
第4部 読者との交信蘭
A様との交信(8月9日)
KI様との交信(8月9日)


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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