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【投機の流儀 セレクション】「コロナ相場」は循環買いを呈するか

4月~翌年3月末、と言う年度期間で言えば、20年4月~21年3月末という「20年度」は50%以上の上昇を示した稀有な年度となった。後年「コロナ相場」との異名で命名されるかもしれない大相場の一つになった。20年3月安値~21年2月高値を見れば11ヶ月で86%高を演じた。

1月大発会~12月大納会までという暦の上での年度で言えば、史上最高は1972年の過剰流動性相場(後年の命名は「列島改造相場」)の年間92%高であったろう。この時に起きたことは、前年の「ニクソンショック」という超円高を乗り切るために史上初の介入を為した過剰流動性であった。日本では、ニクソンショック・オイルショック・リーマンショックなどのような海外発の事件性の大混乱が先ずあってそれを収束させるために財政・金融総合で流動性を出して結果的には過剰流動性を生み資産価格の高騰を示現してきた。コロナと言う、それ自体には意思を持たない外敵に対しても結果的には同じ歴史をたどってきたことになった。

1月、2月は月末大幅安という形をとったが、4月初日と二日で675円幅上昇し週末は25日線を上回り3月18日の3万円台から約半月ぶりのレベルで3万円にあと155円幅で迫った。

バイデンの市場最大の財政出動はインフラ投資に注目されることが普通だが、今回は実は半導体支援にも30兆円強が投じられることが判り、これの装置産業に大きな追い風となった。日本株にも勿論4月1日から及んだ。特に東京エレクの2400円高などだ。こうなると、コロナ禍で伸びた情報・通信・半導体関連が再評価される―→グロース株へ再度資金流入加速、と言う典型的な「グロース群→バリュー銘柄→グロース群へ」という循環の好循環が生まれる可能性も在り得る。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)世界の市場は楽観に傾いているが……
(2)大手の「リバランス」が終わればどうなるか
(3)銘柄別業績相場、大いにあり得る
(4)景気一致指数、2か月ぶりに前月比マイナス、一方景気先行指標は3カ月連続で前年実績を上回った
(5)最も大きなリスクは何か?
(6)「コロナ相場」は循環買いを呈するか
(7)日銀の政策修正が値がさ株を直撃した――「今後は循環物色の姿が変わるぞ」という前触れである。
(8)現在の株価水準はどういう状態にあるのか?
第2部 中長期の見方
(1)当面はレンジ相場、その先は金利高騰リスク、「歴史に学ぼう」
(2)超低金利の出口戦略をパウエル議長がほのめかす日がいつかは来る
(3)保守と懐古趣味との違いを明確にしておきたい――歴史に学ぶ、に際し
(4)米中対立の余波は広範囲に及んできた
(5)「個別銘柄としては特殊な位置にある東電株」について触れる――東電株は言う、「俺には俺の論理があるのだ」と
(6)被追尾国アメリカと追尾国中国の関係
(7)中国に海外資金の流入が加速している
(8)全体を見渡して大道を行こう
(9)菅首相の進退
(10)菅内閣短命節―「ギャンブル依存症の菅首相」
(11)投資家には政治的信条は不要
(12)儲かる農業」
(13)直感・論理・哲学について
(14)経済政策上の価値観は論じない
(15)「米中関係は、爆発しかねない危険をはらんだ地雷原」―3月21日付ウオール・ストリート・ジャーナルよりの孫引き

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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