見出し画像

【投機の流儀 セレクション】もっぱら市場内部要因、好需給の相場

先週週明けは強保合で始まろうとしていたが、それどころではない大幅上げとなった。全く内部要因によるものだと思う。
12日(金)がSQ日であったが、その前日が祭日で休みだから10日(水)が売り方の行動を起こさなければならない日だったとなろう。現に、10日は朝方の寄り付き後の10分間で500円高をした。売り方の踏み上げ以外にない。
こうなればいよいよ過剰流動性相場の末期現象かという見方もあろうが、あと500円で心理的節目とされる3万円に届くし、海外勢から見ればドル換算で4万300円近辺になる。20世紀の史上最高値を追い越して新高値驀進と見えるであろう。
一方、NYは12月18日初めて3万ドル大台に乗せてから、21日に3万ドルを切り、1月21日に再び3万ドルに乗せ、また3万ドルを割り、先週週初2月8日(月)に3回目の3万ドル台に乗せて史上最高値を示現した。12月18日と1月21日と2月8日で3回目の3万ドル大台であり、「三度目の正直」か「仏の顔も3度まで」か、となり、しかも1回目・2回目の大台乗せに比べて3回目の大台乗せはまたわずかながらに上である。「右肩上がりの3万ドル乗せ」になった。
過剰流動性相場がここで一旦達成感を迎えて、場合によったら「右肩上がりの三尊天井(トリプルトップ)」となり、日本市場はドル換算では前世紀の史上最高値を少々超えたが、見方によればこれも「2世紀をまたぐダブルトップ」に見えるのかもしれない。ほとんど過剰流動性だけで動いている今の相場は、市場がどういう状態になっているのか、「風船に例えれば」どういう状態なのか、資金の流れはどうなっているのか、目先的にはこれだけが焦点となろう。
東証株価指数TOPIXが週初には29年8ヶ月ぶりの高値水準を示現した。この頃は89年大納会の大天井から5分の1以下になるプロセスの1年半を経た右肩下がりの途中ではあったが、とにかく29年半ぶりの高値となった。
空売りが非常に多く、需給の取り組みが買い方に有利になっている。3万台乗せへの期待が強まる中で急激な株価の上昇ペースに対する警戒感も増しているが、日経平均は30年半ぶりの高値だから今から上は極端に言えば真空地帯である。戻り待ちの売り物が出にくい。需給面では堅調となる。しかも、空売りが相当に入っているから売り方の買い戻しがある。日本株を上昇局面で買い遅れた海外勢がドルベースで見た日経平均は新高値ばく進中に見えるはずだから、後続組の順張り買いがまた出る。短期的には、経済の復興とか22年度決算がどうなるかということよりも、もっぱら需給関係で動く相場となった。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)「幻のSQ」で終わった週末
(2)海外勢の買い方に変化、期待先行の理想買い(本稿の言葉で「青春期相場」)から現実買い(「壮年期相場」)へ移行する気か
(3)当面、割高感が強まった米国株から日本株へのシフトを招いているのは「欧米に遅れて日本の業績回復がこれから始まる」という見方だが・・・
(4)もっぱら市場内部要因、好需給の相場
(5)当面の市況
(6)円安基調が続き日本の輸出企業に有利
(7)「全米翻弄、スマホ投資家」
(8)アメリカの分断は金融市場に早くも派手に現れた。零細投資家の共闘組織VS.ヘッジファンド、という前代未聞の騒動は規制できるか?
(9)「米20代の6割が日本株に関心あり」という――「末期現象」か「新しい相場の芽吹き」か
(10)「風船の膨らみ具合」が如実に表れた決算発表後の株価騰落率
第2部 少々モノを考えたい
(1)中長期の見方――Ⅰ: 「株高は善」で「バブルは悪」か
(2)中長期の見方:――Ⅱ;今のバブル相場はいつまで続くか
(3)中長期の見方――Ⅲ; 中長期的に見てこの相場が終わるのはいつか
(4)中長期の見方―Ⅳ;宴は続くか、この宴はコロナ次第
(5)中長期の見方―Ⅴ:ITバブルと現在のバブルの違いは何か
(6)中長期の見方―Ⅵ:バブルの収束とワクチン接種
第3部 中長期の見方
(1)コロナ禍回復の後の現実買い
(2)元FRBのイエレン、ECBのドラギ
(3)トランプはアメリカを分断したが、一つだけ遺産を残した、これをバイデンが引き継がなければアメリカの国際的地位は低下し続ける
(4)大和証券作成の「高級食パン景気指数」
(5)中長期の見方
(6)菅政権は短い。残念ながら危なさが次々と露呈してきた
(7)これからのアメリカ
(8)ジャーナリスト嶌信彦通信
第4部 読者との交信蘭

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?