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【投機の流儀 セレクション】黒田日銀から代わる「植田日銀」はどう動くか?


長短金利操作は不自然であって、その副作用を彼はよく認識していると思う。本来、長期金利は市場に委ねるものである。人工的に操作しないのが普通である。植田氏の過去の発言から推察すると、そのことをよく心得ている。

大規模金融緩和の丁寧な修正が必要だと思っているに違いない。彼は日銀審議委員の時代に緩和を長期間続けるというスタンスは長期金利低下圧力を加えるということを主張し、これを理論的支柱とした。そこで2001年3月の量的緩和の導入時には、政策委員会をまとめ上げた実績もあり、その意味でマネジメント面の能力もあると推察される。

新体制は「戦後初めて」(NHKでは「初めての学者出身」と言っているが、戦前に学者出身はいたから「戦後初めて」の誤り)の学者出身の日銀総裁であるが、政策審議委員を7年間務めていたこともある。海外派の副総裁と、黒田総裁とともにやってきた副総裁という布陣であり、言わば専門家集団だ。

日銀のトップは政治との対話が課題になってくるであろうし、もちろん市場との対話は極めて重要であろう。植田氏は金融市場への影響を考慮して、ゆっくりと丁寧に正常化を進めるであろうと想像される。目的をきちんと説明して、そのために金融政策の運営をこのようにするということを理論的に説明して始めるであろうと思われる。

大蔵省外為局は、為替市場への介入は少ない資金で為替を捜査する必要があるから、サプライズをテコとして利用する。
黒田総裁にもその傾向は大いにあった。植田氏はそういうことはしないで、説明をしてから静かに行うであろう。
学者出身のイエレン前FRB議長(現在の米財務長官)やバーナンキ前々FRB議長(今回ノーベル経済学賞受賞)のようなやり方をとるのではないだろうか。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)市況コメント
(2)先週の水曜日に生じたこと
(3)リーマンショック以前の2006年以降で、株式の資金流入額最高
(4)先週半ばの様子
(5)典型的な膠着相場─「鯨幕(くじらまく)罫線」
(6)内閣府、景気の基調判断を下方修正
(7)街角景気(景気ウォッチャー指数)も「足踏み」
第2部 中長期の見方
(1)機関投資家は世界景気の悲観論を後退させているが、株式相場の上昇は一時的という見方
(2)「2023年に景気後退に陥ることはない。陥ったとしても、酷いものにはならない」。こういう自信過剰とも言える経済予測に興奮しているのが欧州だ
(3)「成長」とは何か、ウクライナ戦開始から1年でどうなったか?日経平均5万円を目指す条件は何か?
(4)黒田日銀から代わる「植田日銀」はどう動くか?
(5)「裸の王様」化しつつある習近平
(6)プーチン大統領の頭脳構造
(7)ウクライナ侵攻についてのEUの対ロ制裁
第3部 (内外の不安定要因の中で、今の位置に居る株式市場は)的確な政策さえあれば、日経平均は5万円を目指す
(はじめに:1)日本の経済力の衰退─このままでは、株価の下値は堅くも天井は重い。ただし抜本的政策が出れば、話は別だ。
(はじめに:2)「分配と成長の好循環」を標榜する岸田経済政策は賃上げから始まる。
(はじめに:3)「分配と成長の好循環」
(はじめに:4)「生産性向上がカギ」
(1)経営者に賃上げをさせるように計らう
(2)勤労者に賃上げ運動を指導する。今の「連合」を1989年までの「総評」に戻す
(3)官僚の力を復活させる
(4)そのために内閣人事局を解散する。経済審議会を復活させる
(5)生産性を向上させて、賃金を上げさせる
(6)人口増加対策その1:移民政策を詳しく、優しく説明した上で敢行する
(7)人口増加対策その2:現在日本の出生数は年80万人ぐらいだ。1972年度の出生は200万人いた
第4部 読者との交信蘭─昔からの読者H様との交信

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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