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【投機の流儀 セレクション】株を買いたくて仕方ないカネが多すぎた

(本稿は銘柄指南書ではないつもりでいたが、読者諸賢の中に東電株保有者が非常に多いことをセミナー後の懇親会などで知ったから、東電のことを書き続けた。これは「4年に一度の大統領選挙がいかに東電と結びつくのか」という文脈を広く広めたいためでもあった)。
東電は、大発会から週末の前場まで1ヶ月で270円から444円まで64%を上げ、発行株数の多い超大型株としては珍しく上場2109銘柄中の上昇率で5番目となった。「歴史ある名門大型株が、仕手株ではあるまいし、そんなに慌てて上がることはないのに、急ぐな東電、あすもある」と言いたかったが、過剰流動性の為せるところであった。
しかし金曜日に長大な陰線を引いて、これは型通りの陰陽包み足であり、第1ラウンドが終わったことを宣言したことになる。三線転換法の罫線から見ても週末で完全に陰転した。しかし、「バイデン、パリ協定加盟→CO₂問題・・・東電に行きつく」の筋書きの文脈は消滅したわけではない。が、第1ラウンドは完全に終了したことを陰陽包み足で明確に週末に示したから、少なくとも日柄整理には入る。
三たび、「急ぐな東電、あすもある」
本稿が東電を話に出したのは270円台~290円台の低迷時代だった。これこそ「大通りに在る穴株だ」という意味で。
一昨年、481円で打診買いした話も「動画」で清水さんと話し合った。そこから下をお互いに下値で買い株数を増やしながらナンピンして行くと「動画」で2度ほどお話しした。
週刊ダイヤモンド誌1月30日号に「電力仕入れ価格暴騰」「瀕死にやられる新電元」などという記事が出ているが原発の話しにはひとことも触れていない。今の菅政権はそれに触れたくないのであろう。東電は柏崎の7基の中の2基が稼働すれば2000億円の利益が上乗せになる。この話には一言も触れずに1月4日270円台が29日には444円を付け64%上げて1ヶ月の上昇率5番目になった。これでは乗り遅れた投資家が乗って来れない。だから言った。「急ぐな東電、あすもある」と。
本稿では「バイデン大統領パリ協定に復帰―→CO2問題の議論おきる―→火力発電問題の環境問題―→洋上風力発電はコストかかりすぎ―→原発に2割は依存すべし(通産省官僚の意見)―→東電の柏崎原発を休止させておくな―→東電株、動意付く」の筋書きだったから急ぐことはなかったのに。
何しろ株を買いたくて仕方ないカネが多すぎた

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)当面の市況;先週後半で言えること
(2)「急ぐな東電、あすもある」続編――型通りの陰陽包み足、三線転換法の罫線から見ても週末で完全に陰転、第1ラウンドは終わった。
三たび、「急ぐな東電、あすもある」
(3)当面の市況:冷静に見極めるところ
(4)過剰流動性相場とバブル相場は違う
(5)信用取引評価損益率
(6)見方によって見え方が違う
(7)当面の市況と中長期の市況:
(8)日本経済の回復ペース
(9)鉄鋼・海運・自動車株の上値は重くなった
(10)オリンピック延期となると感染対策を徹底する動機も薄れる
(11)三たび菅首相に失望
第2部 中長期の見方
(1)「『バブル警戒論』花盛り」
(2)苦境に立つバイデン政権-その1
(3)バイデンの苦悩-その2
(4)十干十二支による10年・12年周期の縁起説よりも4年周期の大統領選挙周期の方が意味がある
(5)機関投資家のポジション
(6)抜け目ないことで知られるピクテ投資顧問の中長期の見方:
(7)LME(ロンドンメタル)の動向
(8)押し目待ちに押し目なし、突っ込み待ちに突っ込みなし、かもしれない
(9)日本最大の株主=日銀、この保有高は簿価35兆円、これの出口戦略を考える
(10)深く長く続くであろうアメリカの分断
(11)DJ-【コラム】バイデン新大統領、試される「乗り越える力」 
(出所:2021.1.21、ダウ・ジョーンズ)
第3部 読者との交信蘭
――世田谷のH様との交信(27日受信。28日返信)


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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