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【投機の流儀 セレクション】日本の上場企業の異常状態、上場企業の約半数が会社の株価が解散価値よりも低い

これは異常な状態である。このことをあまり話題にすることはなかったが、有識者や実務家が「フォローアップ会議」というのを4月末から始めた。日本企業のPBRの低さという世界的な的な異常を語り合う場面があると思う。東証によると12月第2週現在で1,837社のプライム上場企業のうちの922社、ちょうど50%強がPBR1倍を割っている。つまり、「解散価値よりも低い」というのだ。時価総額の大小に関係なくそういう現象が起こっている。TOPIX500の構成銘柄でもPBRの1倍割れは43%だ。43%の企業が解散価値より安いという異常さである。日本経済新聞12月31日版には「23年、目覚めよ『万年割安株』」とある。
この理由は明らかである。 株主の期待リターンを示すROE(投資した分に対していくらの利益が来るかの比率)を達成できていないからである。ROE、つまり自己資本比率を達成できていないからだ。 TOPIX500の構成企業のうちの40%のROEは日本株の資本コストの平均である8%にも満たない。資本効率を上げて資本コストを上げるROEを出せば日本株はよみがえる。東証はROEとPBRを引き上げることの具体策を練るのであろうか。強制力のあるような策が練られるであろうか、PBR1倍割れの異常状態をどのように改めていくつもりなのか、投資家はこれを凝視している。
ジョージ・ソロスの哲学(可謬論Farabilism)によれば、異常なことは元に戻る。「ねじれが正常化するバネを利用するのだ」。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント
(2)自由にシタカに動けるはずの個人投資家
(3)昨年の年末は損益通算での損出しのための売りがかさんだ
(4)昨年一年の往来相場(レンジ相場・ボックス相場)の中で起きていることごと
(5)2022年を振り返ればこうだった
(6)11月半ばの一週間で先進国の株式と債券から急速に資金が流出した
(7)支持率で沈みゆく岸田首相、珍しく総理大臣らしい発言
第2部 今年の見方
(1)卯年縁起
(2)米大統領選の前年は上昇というアノマリー
(3)保有期間を1年~5年とすれば日本株は逆張りの好機
(4)ボックス相場に乗るには「裏の裏は表」だの考え方
(5)「世界景気『悪化』4割占める  国内は『拡大』5割維持」
(6)攻めの日銀、「闘将・黒田」
(7)FRBの利上げはどこまでか、利下げに転ずるのはいつか?
(8) 欧州ECBの利上げが長期化
(9)今年以降、大きな変化が起こる
(10)景気後退期の安全な投資法
(11)日本の上場企業の異常状態、上場企業の約半数が会社の株価が解散価値よりも低い
(12)この30年間の日本の衰退傾向
第3部 読者との交信欄
蛇足 「『わかった気』になる入門書にはご注意」

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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