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【投機の流儀 セレクション】欧米、特に米国の金融市場対策は、いつでもやることが早い

ECB(欧州中央銀行)は3回連続で0.5%の大幅利上げを決めた。スイスの金融大手であるクレディ・スイス・グループの経営不安などが高まっているが、ECBはインフレ抑制を優先させた。金融システムの安定と対インフレ圧力の両面をECBは考えなければならない難局に差し掛かっている。
また「必要に応じて流動性支援を提供する」とも説明した。利上げと逆行する動きではあるが、クレディ・スイスの経営不安に対する急遽の対応策である。

米シリコンバレー銀行の破綻もECBの政策決定は初めてのことだ。FRBが22日に政策金利を発表するのを控えて、市場ではFRBに先行するECBの判断に注目が集まっていた。クレディ・スイスの事件を迎えていながら0.5%利上げをするということは、欧州のインフレ圧力が相当に根強いということだ。消費者物価指数は前年同月比の8.5%高となっている。一方、クレディ・スイスはECBから最大で7兆円の調達をして、不安解消へ緊急措置をとった。欧米、特に米国の金融市場対策は、いつでもやることが早い。

欧米の金融市場不安を治める形を要約するとこうなった。
〇英国のトリプル安←英・中央銀行が国債買い支え
〇米国シリコンバレー銀行破綻←米FRBと連邦資産保険公社が預金を全額保証
〇シグネーチャー銀行破綻←同上
〇クレディ・スイス経営不安←スイス中央銀行が流動性供給

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)市況コメント
(2)米利上げが金融システムに影、シリコンバレー銀行の破綻
(3)先々週末のシリコンバレー銀行の破綻
(4)金融危機の淵を覗いた市場だったが……
(5)「波高きは天底の兆し」?
(6)3月10日のSQ日に向かって5連騰して1100円高、その後3日連続安▲1400円、一日保合あり。6日目には下げ幅合計1613円
(7)グロース株は9カ月ぶりの上昇率、一方で銀行株は3ヶ月ぶりの安値
(8)裁定買い残が急増
(9)欧米、特に米国の金融市場対策は、いつでもやることが早い
(10)どちらとも言えないが、筆者は過去のアノマリーの方を採る
(11)賃上げ率は26年ぶりの高水準─「分配と成長の好循環」の循環は、まず賃上げから始まる。その賃上げは「成長」のための第一歩だ
(12)製造業の8割が満額回答だが、今の「連合」では話にならない
(13)賃上げと役員報酬
(14)「分配と成長の好循環」において賃上げと株式投資の有利不利の関係
(15)変化のサインか?
(16)岸田政権の支持率下落に歯止めがかかった
第2部 中長期の見方
(1)OECDの世界経済見通し、僅かに好転だが、日本経済は下方修正
(2)米国に景気後退ありや無しや─労働市場と金銀価格比の推移から言えるという説
(3)米に景気後退はあるか、無いか?
(4)NYダウは、年末にかけて上昇するという見方が大勢を占めるようになった─景気の趨勢の見方によって市場行動は今から大きく異なる
(5)世界の著名投資家たちの見方を要約する
(6)菅元首相が岸田降ろしに動いているが「発想が首相の器ではない」
(7)日本の輸出顧客としては最大の中国経済、景況感は予想以上に回復
(8)岸田首相の下での政局の行方
(9)日本の貿易赤字体質は定着するのか?
(10)「気球問題」で、習近平が間抜けな大恥を晒した
第3部 4月からの日銀植田新総裁
(1)4月からの日銀植田新総裁─これが望ましい背景
(2)植田新総裁は早い段階で長期金利の政策に修正を加えるであろうが、緩和の持続性向上という位置付けを基本的には守っていくという姿勢である
(3)植田和男新総裁の政治対応に試練
(4)次期日銀総裁・副総裁の3人の学歴偏差値は史上最高レベルが揃った
(5)「功績大なる人には讃辞無きに如かず」
第4部 読者との交信蘭

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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