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【投機の流儀 セレクション】コロナ禍を契機に抜本的に考え直す問題――市場がそれに気が付いて自律的な動きをし始めるのを恐れる

80年代後半のレーガニズムとその同盟者とでも言うべきサッチャリズムとが米英同時に現れ、新自由主義と俗に言われていることが蔓延し、日本もそれに相当部分は倣った点がある。そして小泉政権の時の竹中金融庁長官はアメリカへ留学した時にすっかりその新自由主義に洗脳され、失われた13年間を日銀出身の木村剛とともに日本の金融政策を主導した。結果的には13年間続いた不良債権を強行突破で処理し、失われた13年の完結を見たが、その結果、医療や福祉などは軽視され、米中に比べれば格差は小さいけれども日本も格差が大いに開いた。結果的には医療と福祉が極度に脆弱化した。そして特に米国などではそのためにコロナで多くの人々が命を落とした。
税制を改革して富の再配分の仕組みを検討すべき時期が来ていると思う。それに気が付いて手を打たなければ、それこそ若林栄四氏が言うように「この醜悪な格差はマーケットが天罰を下す以外に収拾する方はない。したがって、NYダウは6000ドル(当時のレベルから言えば4分の1になる)と言うのは少々オーバーであっても、ねじれが元に戻ろうという風潮は目先的に自分だけ儲ければいいという市場行動家の考えとはまた別に経済体制そのものが自分の論理を貫徹していこうという動きが出る可能性もある。
超長期的には世界と日本の資本主義体制の前途がどうなるのか、マルクスの「資本論」の刊行150周年を迎え、ここで超長期の日本国の姿にも思いを致す時が来るであろう。筆者は決して憂国の士でもないし、日本の将来を考える立場でもないし、その気もない。ただ、市場がそれに気が付いて自律的な動きをし始めるのを恐れるのみだ。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)先週末の様相
(2)アベノミクスの総括;武者陵司氏の評価と筆者の評価
(3)「株は知っていた」
(4)「株は知っていた」その2
(5)9月17日、新首相選
(6)アベノミクスの総括、その一部分
(7)後任首相によって市場に激震か微調整か
(8)アベノミクス相場、名実ともに終焉
(9)残暑厳しい9月が株安になりやすいというが
(10)次の相場の幕が開くまで市場内の動揺と不安と期待
第2部 中長期の見方:
(1)今こそ議会制民主主義国家日本の正念場 (2)中長期の見方:「劣勢バリュー株、復活なるか」
(3)ROE重視の制度改革は安倍背政権時代の後年に残る功績だった
(4)少なくともGDPの成長率から言えば安倍政権時代は褒められたものではない。
(5)トランプとバイデン (6)コロナ禍を契機に抜本的に考え直す問題――市場がそれに気が付いて自律的な動きをし始めるのを恐れる
第3部 読者との交信蘭:
新潟のY様との「ナンピンか投げか」について

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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