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【投機の流儀 セレクション】「大国の衰亡論的な見方」から言えば日本は衰亡期に入っている

週刊東洋経済誌のオンラインに、円高への修正が日本を救う。円高へ誘導しても景気が悪くならない、という旨が述べられている。誰が何を云おうと自由だし一般人の場合は結果についての責任もないが、現実的に考えれば本稿は次のように考える。

話しは簡単にしよう。
昨年度の日本は輸入が燃料約17兆円、食料が約7.4兆円、合計24.4兆円で、
輸出が自動車14.2兆円、電機15.2兆円、鉄鋼3.8兆円、合計33.4兆円
であった(財務省の貿易統計)。
このうち24兆円の輸入が4割が値上がり、一方輸出は1割値上げ輸出していてトクになっている。ところで、アベノミクスが誕生した2012年(民主党政権発足3年後)は円ドル相場が通年平均は79.5円だった。ところが、それから10年後の現在136円になった。IMFの購買力平価は91.15円としている。
洞察力ではあまり敬意を払ってこなかったが物知りの寺島実郎氏は、今年は145円まで上がるだろうと言うし、「ミスター円」こと榊原英資氏は150円まで上がるだろうと言っている。誰が何を言おうと自由であるが、事実としてはこの30年間日本国の迷走時期に入った。

超長期の見方で言えば、20世紀に入って120年間を経る。その120年間のうちの90年間は「アングロサクソン国家との同盟で旨くやってきた期間」だ。ところが、アングロサクソンと離れた30年間(独伊との三国同盟はその中に入る)は「失敗の30年間」だった。1915年~1945年である。
21世紀に入る前の10年間を含めて、この30年間は、超長期の目で見ると日本の衰退期だった。32年前の日経平均高値の、未だに約7割前後を低迷している事実はそれを象徴している。時価総額は増えたが、それは上場銘柄数が激増したからに過ぎない。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)今週週初は日経平均は買い先行で高く始まろう――6月メジャーSQ(SQ値=2万8122円)で作られた「需給の壁」にトライする動きか
(2)ボックス相場の中の中間反騰の特色
(3)ボックス相場の中、個人投資家4年4ヶ月ぶりの高水準で株買い越し
(4)黒田総裁はいま、悩んでいるわけではないし、迷っているわけでもない
(5)これほど判りやすい円安要因はない
(6)悪材料に対する懸念は「霧が晴れた」というという時点で悪材料の存在だった事実が好材料に変化する
(7)参院選が迫りくる中で、選挙にプラスにならない外交ばかりしている岸田首相
第2部 中長期の見方
(1)景気後退リスクの中で考えること
(2)日本経済全体の状況――いまは、どこにいるのか
(3)過去の、長期の上昇下降の趨勢について
(4)日経平均、年末3万円回復説 の要約
(5)一般的に世間に出ている「年末3万円説」は概ね次のようになる
(6)設備投資大回復――本当はこれは強気ニュースだ
(7)法人税率アップという方法で構造改革を進める方法があり得る
(8)いい加減にしてもらいたい、岸田政権の政策の欠如
(9)「大国の衰亡論的な見方」から言えば日本は衰亡期に入っている
(10)米FRBだけでなく欧州ECBも出遅れた
(11)嵐の中の米国株に一脈の光明
(12)米国株の見方についての別れた見解
(13)経済極小国で核兵器大国・且つ諜報大国のロシア
(14)プーチンは癌で余命わずか。パーキンソン病で右手の震えを隠すのに懸命
(15)グローバリズムが終わって「分断の時代(★註)」に入った、それを写す新FAANGの株高は世界経済にプラスではない
第3部 参院選が終われば出てくる問題の一つ――原発再稼働の話


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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