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【投機の流儀 セレクション】「政局はこれ以上は失望しようがない」ために解散は買い

先週は週明けから5日間連騰した。7月14日以来の1か月半ぶりの高値をとった。菅首相が31日に9月中旬に衆院解散に踏み切るとの観測が報じられ手から一段高になった。「選挙が大好きな日本株」これが日本経済新聞9月2日の証券欄の編集委員の記名入り記事の見出しである。世界で大きく出遅れた日本株の割安感が「解散は買い」という広く長く知られた経験則が「最弱日本株復活への引き金」となった感じがある。選挙を巡る日本株の動きには昔から「解散は買い」というアノマリーがあった。典型的だったのは2012年11月、安倍前首相が時の首相野田総理に対して衆院解散を確認した。この日8,665円を始動点としてアベノミクス大相場は始まった。実際に解散して選挙があって安倍政権が成立したのは12年12月であったが、株価は解散決定の日から始動したから6ヶ月で約80%を上がるという派手な青春期相場を示現した。過去30年間で衆院解散総選挙は10回実施されたが、その10回とも日経平均は選挙期間中は間違いなく上昇した。TOPIXも10回のうち9回は上昇した。
上昇率は過去10回の選挙で4.5%だが後半の5回に限って言えば7.3%に達する。「解散総選挙が大好きという日本株の昔からの経験則がある」(日経新聞8月2日、編集委員記名入りの記事)。
今年は例年より長めの休暇をとった海外投資家から日本の政治に対する問い合わせが先週は一気に増えたという(前掲紙9月2日版、外資系証券担当者)。
政局不安定化をものともせず買い手の中心は海外投資家だという。

しかし、冷静に考えれば長期的に株価にとって重要なのは「これ以上は失望しようがないため政局が混乱しても株は上がる」というほど甘いものではなく、「市場に評価されるだけの経済政策が選挙後に打ち出させるかどうか」である。そうでなければ選挙の日が株価の天井になってしまう可能性もある。問題は本当は政局ではなくて政策なのだ。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)出遅れ修正後の更なる日本株優位の継続性は、誰が新総裁となるか、またその新総裁の政策次第となってこよう
(2)「解散選挙大好きな日本株」
(3)菅首相、総裁選出馬見送りで大幅高
(4)「政局はこれ以上は失望しようがない」ために解散は買い
(5)日経平均、1ヶ月半ぶりで2万9,000円台回復、売買代金2日連続して3兆円超
(6)菅首相続騰ならドル高円安となり、年末は115円と言われていたが・・
(7)当面の市況:「霧が晴れた」「織り込み済みだ」
(8)個人投資家の買いが広がっている
第2部 中長期の見方
(1)経済実勢はコロナ前への年内回復は無理か
(2)雇用の調子が戻ってくれば超金融緩和の正当性がなくなる
(3)長期金利の見通し、6ヶ月連続で下振れ
(4)「テーパリングの先に見える長期趨勢」についての武者氏の見方・要約(「ス
(5)米大規模緩和、年内縮小に踏み込む
(7)アフガンから撤退したバイデンの決断は正しかったとしたい
(8)ついでに言いたいが、自由や民主主義が世界の標準であるとは言えない
(9)脱炭素の主力は原発と再エネ
(10)世界景気の指標であるLME銅
(11)中長期の見方:物言う株主(アクティビスト)についての私見
第3部 読者との交信蘭
(1)Y様との交信(受信:8月29日。返信30日)
(2)Y様との交信:(上記のY様とは別のY様)(9月1日)
(3)H様との交信(9月1日受信、9月2日返信)


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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