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【投機の流儀 セレクション】中立であるべき日経新聞が……

日経新聞は発生史的に株式新聞であったから、その残滓があるのかもしれないがひとこと言っておきたい。日経新聞は業界紙ではなく一般新聞の一つであるから中立のスタンスをとるのが普通だと思う。ところが、7月23日に六段抜きの記事で(「スクランブル」)の見出しが「買い戻し相場 近づく終焉」とある。本文をそのまま掲載すると「日本株上昇の裏で息切れ感が出てきた。22日の日経平均株価は7日続伸し、節目の2万8,000円に近づいた。 その原動力は米金利の上昇一服を受けた投機筋による景気敏感株の買い戻しだ」とあり、3月に200日線を越えたところで戻り天井だったし6月も同様だった。それと同じ現象が出てきたことを述べているならば事実として正しいが、「上昇の裏で息切れ感が出てきた」とか具体的に見出しで個別銘柄を挙げて「キーエンス株 既に8合目」などとある。「野村證券は22年10月~12月期に米国が景気後退期に入るとの見立てから日経平均の年末予想を3万1,000円から2万6,000円に引き下げた。というのは野村がやった事実をそのまま述べているのだから良いがその後が「買い戻しの追い風が止んだ時一気に現実に引き戻される恐れがある」などと主観を述べている。記名入り記事だから記名者の責任でのべているのであって新聞社の意見ではないという意味であろうが、一般新聞が軽々しく相場観を述べたり、銘柄を具体的に挙げて「既に8合目」と書くのは感心しない。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント
(2)岸田首相の「国葬」に込めた策士ぶりと行動力を評価し、腹を決めて「新しい資本主義」の構想を練り上げて実行に移すべき時が「国葬」終了後にありたい
(3)株式市場では一時的に投資家の不安心理が後退した
(4)FRBの「物分かりの良さ」に甘んじているとシッペ返しを食うことになる、という用心は必要だろう
(5)ヘッジファンド全体を反映する指数、今年1~6月の成績がマイナス5.6%となった
(6)国内投資家は国債を8週間連続で売り越しが続いた
(7)日銀、消費者物価上昇率は目標の2%を超えたが当面政策は修正する必要はないとした
(8)異常気象、経済を揺るがす
(9)米FRB金利政策と市場(「ウォール・ストリート・ジャーナル」要約、キャピタル・パートナーズ証券、7月28日)そのあとに次の項目で私見を要約する
第2部 中長期の見方
(1)岸田政権「黄金の3年間」への期待とその危うさ
(2)景気下振れのシグナルが明確なってきた
(3)「今そこにある危機」の一種――意外に大底は早く到来するかも
第3部 その他に思うことを幾つか述べたい
(1)中立であるべき日経新聞が……
(2)インフレ高進に際してマネタリズムが再評価されつつある
(3)何が権力か――マスコミはリンチもする
(4)「世界に悲観の資本主義はない」「厭世家の投資家はいない」
第4部 読者との交信蘭第4部 読者との交信蘭
7月20日収録動画「安倍元首相の国葬と岸田政権の経済策」についての読者H様との交信(7月22日)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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