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【投機の流儀 セレクション】プーチンの人柄形成について要約する

筆者は2000年にプーチンが国家の全権を事実上掌握して以降、ロシア・ルーブルにジャンク債と知りつつも投資して失敗して早めに撤退したことがあった。1ルーブル5円強が1円を割ったのだから早めの撤退は正解ではあったが。
その後、ロシアが2014年にクリミア半島に侵攻した、この時ウクライナ国債をもちろんジャンク債として買って1000万の投機で短期間で412万円ほどの利益を上げたことがある。このことはセミナーで知り合った本稿の読者の一部の方々と一緒に同じ証券会社でやった。この頃、プーチンという人間がどういう人間であるかということを、その頃流行っていたプーチン学(プーチノロジー)に関する本を2~3冊を読んで調べた。
簡潔に要約する。
彼は 旧ロシア(1914年ソ連が成立する前の帝政ロシア)が首都としていた北欧諸国に近いサンクトペテルブルクの名門大学たるサンクトペテルブルク大学(日本で言えば古都の名門大学だから京都大学に相当するか)を卒業して、少年期からスパイになることを志向していた。スパイは一人で国全体を動かすような力を持つからだという。そしてスパイになるため旧ソ連のKGBに就職し東ドイツにスパイとして駐在していた期間に東ドイツは崩壊し、一時は苦労してタクシー運転手もやった。その後、KGB出身を買われてサンクトペテルブルグ副市長に転身した。そこから中央政界に駆け上がった。各段階を通じてプーチンは「工作員」でもあり、「アウトサイダー」でもあり、「国家主義者」でもあった。大統領として大国の復活を目指したプーチンは、1914年のレーニン革命前の帝政ロシアの良いところとソ連の良いところ、所謂「いいとこ取り」を理念にした。プーチンが考える理想のロシアは帝政ロシアの歴史全体とソ連時代の中央集権国家から抜き出した思想との混合である。
プーチンはロシアやウクライナやカザフスタンなどによるユーラシア連合創設を目指したが、ウクライナは2014年に親ロ派の政権が崩壊し、計画は事実上破綻した。「邪魔者は消せ」を実行し続け何百人もの論客を暗殺した。ここに今日の事態につながる淵源があった。
お気付きであろうが彼は歩くときに常に左手は自然状態であるが右手は絶対に振らないで歩く、これはKGB時代に仕込まれた動作のクセであって右袖内に装着した仕込み銃があるからだという。また、椅子に座って話すとき、常に右手は肘掛を掴んで固定させている、これもKGB時代に仕込まれたクセだそうだ。或いは海外の要人と一対一で対談するとき、異様に長いテーブルの両端で向き合う、これもKGB時代の仕込みだそうで、毒殺を防ぐためだという。

【今週の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント:一足一刀の間境で相場と対峙したい
(2)海外勢8月第4週に日本株売り越し
(3)個人投資家の押し目買いも入り、信用買い残が1ヶ月半ぶりの高水準
(4)8月市況を振り返れば……
(5)米国に比べて日本株は底堅い
(6)再びFRBの動向について惑う
(7)「ジャクソンホール会議」が投資家に意味するところ
(8)FRBの使命は通貨価値の安定(今はインフレファイター)と雇用発展である。株式市場の安定ではない
(9)FRBが追加利上げに踏み切れば、株式市場は最近の上昇分を全て失う恐れはある
(10)「恐怖指数」が急騰した月末、構造的には割安
第2部 中長期の見方
(1)FRBは今後どういう行動をとるか?
(2)「国策に売りなし」‐「貯蓄から投資へ」
(3)原油価格下落に向かう
(4)世界経済は1970年代のようなスタグフレーションに向かっているのか
(5)プーチンの人柄形成について要約する
(6)中国の台湾包囲演習が意味するもの
(7)台湾有事は日本にも当然影響を与える
(8)中国の台湾との問題
(9)台湾・尖閣諸島・北方領土の問題
(10)ウクライナの要請を断り武器輸出の機会を逃したと河野 デジタル相は言う
(11)安倍元首相の国葬について
第3部 超長期の見方
(1)超長期に見れば日本株は決して高過ぎはしない。モノの観方には(A:循環的な見方)と(B:構造的な見方)とがある
(2)世の中が「不況シナリオ」に染まりつつあることへの用心


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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