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【投機の流儀 セレクション】割安株の安値圏内(したがって業績は悪い)において株価の復元を期待して中長期保有するスタンスで投資し保有する、この方法は最近の乱高下相場の中でも利益を出し続けてきた

世界的にインフレが加速する中で米FRBは大幅な利下げを余儀なくされ、株式市場は歴史的な急変動を遂げた。1896年にNYダウが創設されて以来、20%以上の下げは十数回しかなかったが、今回はSP500種株価指数は約2割下落、ハイテク株の多いナスダック総合株価指数は3割下落、日経平均はドル建てで見れば2割強の下落(円建てで言えば1割の下落に過ぎなかったが)、昨年の主役だったグロース株は半導体株で構成する米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は4割下落、グロース銘柄への集中として知られる上場ETFの「アークイノベーション」は6割下落であった。
の中でこの項目の標題に示したような方法で投資してきた場合には利益を上げている。例えば、三井住友アセットメントマネジメントは2018年(アベノミクス相場大天井の年)に設定した「日本厳選割安株ファンド」は6月の波乱相場の最中に設定以来のリターンが目標の20%に届き、6月23日に繰り上げ償還で投資家に利益を還元した。これは4年にわたる地道な安値買い・待ち伏せ投資・低PBRのバリュー株を腰を据えて買って保有した結果である。業績が改善し始めて株価が上がり始めてから買うのではない。それは筆者が不得意とする「順張り」であって、時間の効率は良いが一種の冒険である。本稿が旨としてきたのは逆張と難平買(なんぴんかい)であった。少なくともこの半年間はそれが報いられた。未だ「今そこにある危機(★註)」は去ったわけではない。これは腰を据えた一つの投資方針が必要となる。本稿で何度も言う通り、ヒトが株式市場でたどってきた結果をたどればそこに一つの人間像が浮かび上がる。それがあなたなのだ、と拙著で何回か書いた。それが今である。
(★註)Clear and Present Dangerはアメリカの憲法学用語であって、それを映画のタイトルにしているが、日本の正式な憲法学用語では「明白かつ現在の危険」と言っている。「今そこにある危機」は映画の邦題タイトルであって、そんな言葉は法律用語に存在しない。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント
(2)当面の市況
(3)週末の状況
(4)プライム市場が始まってから3ヶ月強、売買代金3か月振りの低水準
(5)原発超再編構想――「棚ぼたを食うためには常に棚の下に居ろ」
(6)今後とも台風の目の一つである東電株
(7)これからは政策の問題である。「政治の期間」に入る。
(8)安倍元首相がいなくなり経済政策のバランスは不安定になり経済運営の舵取りは難しさを増す――「成長できない日本」をどうする?
(9)自民党党内人事と来春の日銀総裁人事
(10)南関東6月の街角景気、5ヶ月ぶり悪化
(11)国内の銀行・生保が外債売り越し最大
(12)マザーズ指数が1ヶ月ぶり高値
(13)参院選後の3年間は「選挙がない『黄金の3年』に恵まれるかどうか」は判らない
(14)6月調査の日銀短観(7月1日発表)によれば、ものづくりは不調、サービスは好調
(15)「外交の岸田」に難問
(16)7月8日の安倍元首相銃撃事件に関する懸念
(17)安倍元首相白昼の凶弾に倒れた後、株価が上げ幅を縮小した程度で済んだが……
第2部 中長期の見方
(1)「失われた30年の終わり」、これからはこうする
(2)割安株の安値圏内(したがって業績は悪い)において株価の復元を期待して中長期保有するスタンスで投資し保有する、この方法は最近の乱高下相場の中でも利益を出し続けてきた
(3)「長期運用なら株と債券に分散を」
(4)武者リサーチ最新号より原文のまま抜粋――「今日の日経平均27000円台から2年後には4万円、10数年後には10万円になると考えます。」
(5)「社会的価値」と「経済的価値」とを混同させてきたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)
(6)FRBのインフレ対策の失敗
(7)円安を本気で止める姿勢も見えず手段もない
(8)経済政策論議で出るであろう「高圧経済と経済政策論議」
(9)ふたたび、「核兵器禁止条約推進派に日本が背を向けるのは正しい」
第3部 読者との交信蘭(15日受信)


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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