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【投機の流儀 セレクション】日本企業から「老害」はなくならない

定年延長で会社に居座っている「老人」は自分の存在が若手社員たちの迷惑にならないように静かにしているつもりかもしれないが、存在すること自体が若手社員の妨げになっていることを意外に自覚していない。若手社員が会社の先輩としてその老人に一応の相談をするという形式をとるのが日本の風俗である。一応形式的に相談の形式をとるのであるが、それを全て「今からは君たちの出番だ。私の意見などは聞かないで君たちの思う通りにやってくれればよい」と応ずるぐらいの見識はあるのだろうが、その場でちょっとでも意見を言ったりすること自体が迷惑であり、その「存在自体」が一応の相談をしに行くという面倒な手続きをしなければならないから迷惑なのだ。このことをよく自覚した方が良い。筆者は平取締役や常務の頃、会社の4割の利益を上げている頃、勢いに乗って「存在自体が妨げになるのだ」ということを「先輩の老人たち」に説いて聞かせたことがある。彼らはもちろんおとなしく聞いていたが内心は憎らしい奴だと思っていたに違いない。しかし、筆者の足を引っ張る人は出てこなかった。野村證券でも三井の企業でもOB会で筆者が、「僕は周囲の人々に恵まれていて足を引っ張るような人は一人もいなかった」と語ると、周りの者は大笑いして「それは山崎君が鈍感だから感じていないだけだ。足を引っ張る奴はいくらでもいた筈だ」と言われた。その時に現職社長の人が言ったことは「山崎君には或る勢いが常にあった。勢いがある者の足を引っ張ると自分が蹴飛ばされるから足を引っ張らないだけだ。勢いが衰えたら直ちに足を引っ張りにくる奴は群れを成して出て来るぞ。第一に俺がそれをしたかもしれない」と笑った。

【今週の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント
(2)週末兼月末の9月30日はどういう日だったか
(3)機関投資家の米株保有状況はコロナ初期以来の低水準
(4)中央銀行の株価支えは今回はアテにできない
(5)9月第4週、個人投資家の信用買い残高が最高になった
(6)買い場探しの「景気後退確率」
(7)米金利上昇は金融市場を揺るがす
(8)岸田政権の発足から来月で満1年になる。岸田政権の下では海外勢は日本株をずっと売り越してきた
(9)社債市場に「リーマンの記憶」を呼び起こすような「不吉なサイン」はない
(10)「暴落相場とインフレ 本番はこれからだ」――賢愚の境界はここにある
(11)「死亡後に国論を二分した元首相」
(12)安倍元首相を悼む、アベノミクスの生みの親である浜田宏一氏が語るところ
第2部 中長期の見方
(1)今回の世界経済の減速はリーマンやコロナと違って「事件性の物」ではなく経済体制内の物だから市場に織り込みやすい
(2)社長100人アンケートによれば世界景気は「悪化」が「拡大」より増えて逆転した
(3)仮称「コロナ相場」の天井3万800円の時はドルベースで見れば史上最高値の3万8,915円を概ね達していた
(4)物価と賃金がスパイラルで上昇する恐れ
(5)再び岸田内閣短命説―長期政権の後は幾つかの短命政権が続くというジンクス
(6)中国の不動産不況の危険度は日本凋落の原因となった1990年代の「失われた13年」に似ている
(7)米国のインフレとNYダウ
(8)原油価格が一服して低下したことによりインフレのピークアウトが見えてくるのではないかと淡い期待があったが……
(9)協調介入でなく単独介入の効果は短い?
(10)市場から無視された「国主導で原発の再構築」の記事
(11)岸田首相は長く封印されてきた原発の議論を新設や増設の検討・議論を再開して新設や増設を指示した
(12)「アメリカで広がるESGヘイトの教訓」
ESGに胡散臭さを感じるという項目の続き
(13)日本企業から「老害」はなくならない
(14)日本の女性議員比率


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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