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【投機の流儀】岸田政権に揺らぎが起こるとすれば?

第1部 当面の市況

(1)はじめに
先週末の日経先物は2万9680円で週末現物値より70円程度高い水準で取引を終えている。
米国市場では、市場予想を上回った10月雇用統計の結果やファイザーのコロナ経口治療薬の良好な治験データで経済正常化期待が高まり景気敏感株を中心に買われ、NYダウ終値は36327ドル(+0.56%)、ナスダック指数は10日連続高で共に史上最高値更新となった。

(2)政権・政策・株価の関係
先週週明けは政治不安が後退し大幅に続伸した。自民党が衆院選で市場予想を上回る議席を獲得、政治不安が一挙に後退した。
また、この政治の安定で積極的な財政出動への期待も高まり、景気敏感株を始め幅広い銘柄に資金が出た。

1日(月)には750円上がったが、25日線との乖離率は週末現在で上方
3%弱、騰落レシオは100%未満であり、決して過熱の境地ではない。

本稿が選挙前から「選挙後はアク抜けする」「今の騰落レシオは8月の2万7,000円時代のものと同じだから下がる余地は少ない」と述べてきた。週明けは派手に上昇した。但し、選挙後の株高の持続には大いに懸念がある。安倍政権の経済政策は「分配を重視する」というふうに聞こえる。これを海外投資家は嫌気したと思う。

しかし、過去の自民党の議席シェアとその後の株価を照らし合わせると今回の結果は 株高の兆候と言える。アベノミクス相場が始動した時の初期は自民党の議席シェアは61%で投開票日から30営業日後の日経平均は16%上昇し、60営業日後には28%高となった。
2000年以降の7回の総選挙で自民党が議席の過半数を押さえたことが4回あるが、その4回で株価は全て上昇した。

今回の議席数は56%でアベノミクス始動期の61%よりは多少少ないが過去のパターンから見ると今から1割ぐらい上はあってもいいかもしれない。
自民党議席シェアと投開票日以降の株価動向だけで見ればそう言える。

岸田政権が経済政策の比重を分配から構造改革・規制改革に移して行けば、 市場では高い評価を得られるであろう。長期の株高を演出した05年の小泉政権は郵政民営化という「改革」が海外マネーを呼び込み、12年の安倍政権はでは「経済を取り戻す」というフレーズと「三本の矢」という具体的な政策(必ずしもあとの二本目・三本目は殆ど機能しなかったが)が海外資金を呼び込んだ。
今後の岸田政権が分配、分配と言わずに構造改革や規制改革に軸足を移していけば、宏池会の伝統である経済重視と財政出動重視を並べてみると、ドルベースでの市場最高値と並んだ現在、 史上最高値を目指す条件がないことではない。これからの政策の出し方次第である

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