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【投機の流儀 セレクション】長期投資への絶好の買い場をつかむつもりで市場に対峙していよう

2009年春のリーマンショック(日経平均7,000円割れ)とか、2020年3月の仮称コロナショック(日経平均1万6,400円割れ)などのような事件性の大底を狙ってはいけないと思う。ああいうことは10年に一度だ。
ウクライナ侵攻を淵源とするエネルギーや食料のインフレ、新型コロナ禍、米景気後退を覚悟してまでもインフレ抑制のための金利上げなどは既に事件性のものではなく、市場参加者全員が承知の上のことである。

今後我々が見るべきものは景気循環の上で言うところの「景気の谷」の寸前の「景気収縮期」で本気で買いに出ることだと思う。では、その景気収縮期はいつ来るか?これを見抜くことが一番手っ取り早い大底を買う方法であろう。
そして、景気の「山」の手前の「拡大期の後半」で売り始めて大天井前に売り切っている、これが株式投資で金融資産を構築する大道だ、この一言を云うために本稿は10年を要してきた。

しかし、もはや20年3月の時のような「PERは11倍でPBRは0.8倍で25日線との乖離率は20%で騰落レシオは40%」というようなファンダメンタル面も市場内要因もともに整備された大底というものは10年に一度のものであって、今からはそれは期待できない。したがって、景気回復をにらんでその前の「景気の谷」を予測して、また、その前の景気の「収縮期」に本気で買って出ることが正当なやり方であろう。では、その時期はいつか?

景気回復は日米がともに23年半ばというのが概ね妥当な線である。そうすると景気の谷は23年の半ばより前に来るし、収縮期はそのもっと前に来る。それを予期して日経平均のPERは現在13倍前後にあり、過去の傾向から見て極めて割安水準にある。米S&P500のPERも昨年ピークの24倍から現在16~17倍で推移して割高感は解消しつある。長期投資をにらんだ絶好の買い場が半年間、遅くとも来年春までにはあり得るように思う。株価の大底を探すのはなかなか難しい。PBR0.8倍、PER11倍などということは虫が良すぎるかもしれない。したがって、「景気の谷」の前の「景気収縮期」で買い始める。そして何回にも分けて「景気の谷」に向かって買っていくという方法が常道であろう。
この一文を語るために筆者は拙著「賢者の投資、愚者の投資」一冊を要した。
景気循環と株価変動の関係は第3部で別途詳述する。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント――中間反騰と実勢悪相場との狭間
(2)当面の方向の別れ道
(3)先月7月の動き
(4)「電力が足りない――安定供給・脱炭素に壁、資源小国に迫る転機」
(5)最低賃金、過去最大幅の上昇
(6)日本株は年内は3,000円~4,000円幅のレンジのボックス圏で推移するであろう
(7)「株価は年後半『3万円』回復」
(8)「インフレから景気後退懸念へ」、副題「一方で資産所得倍増プランに期待」
(9)岸田政権の政策形成に不安
第2部 中長期の見方
(1)長期投資への絶好の買い場をつかむつもりで市場に対峙していよう
(2)米FRBが「3倍速度」の利上げの行く先は如何に?
(3)今後の日銀の動き
(4)FRBは景気維持とインフレ抑制のどちらを優先するか
(5)力強さに欠ける日本経済-―「賃金・物価のスパイラル」が起きない
(6)今後の30年を、「躍進の30年」にするか、「老衰の30年」にするか、その境目であろう
(7)果たして躍動的な経済大国に再びなれるのか? ――ビジネスマネジメントは「科学ではなくアートだ」
(8)ESG(環境・社会・企業統治)などには一概に賛同できない。なにかウサンクサイ感じがある
(9)日本で最も成長余地を持っている産業
第3部 株価変動と景気循環との関係

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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