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【投機の流儀】ロシアへの経済制裁の金融界への影響

シティグループが1年前から取り組んでいるロシアの個人金融事業の売却計画はウクライナ侵攻で一気に厳しくなった。買い手候補から米欧勢は一切消えて残ったのは中国だけだ。中国はご承知の通り、ロシアへの制裁に参加していない。ロシア中銀の資産凍結、国際銀行間通信協会SWIFTからロシア銀行の排除、制裁対象との取引制限等々、ウクライナ侵攻を巡り、米国は。日米欧が連携して史上最大の金融制裁を打ち出している。今のところロシアは持ち堪えているし、ルーブルも急落後は信仰以前の水準を回復している。経済制裁が武力に代わって効果を持ち出したのは第一次世界大戦後であった。日本の第二次世界大戦開戦は経済制裁が大きな契機となっていたことは間違いないと思う。第二次世界大戦後の経済制裁の成功例はエジプトに侵攻した英仏を米国が経済制裁を示唆して止めようとした所謂スエズ動乱(1956年)ぐらいであろう。経済制裁の戦績は必ずしも芳しくない。スエズ動乱の時は米国は圧倒的な覇権国で国連の常任理事国の英仏を押さえつけて英国はエジプトから撤退した。ロシアは、中国・インド・アフリカ諸国が支持しているから微妙な段階である。ゴールドマン・サックスのCEOは、1~3月期決算発表で侵攻後の地政学リスクと不透明感については「これは戦争そのものよりも長く続くだろう」と述べているそうだ(日経ヴェリタス紙4月24日号)。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)本稿の意味は、今こそ、ここにある、と言いたい
(2)週末の状況
(3)今の株価の位置
(4)ドル円相場が20年ぶりに131円で週末を迎えた「悪い円安時代」
(5)シナリオ崩れる世界経済
(6)岸田首相の金融市場音痴
(7)理念だけが上滑りの「新しい資本主義」
(8)「政権は重大問題を先送りし続けていると大きな問題を起こす結果になる」
(9)G20は物別れに終わった。今回は失敗だった
第2部 中長期の見方
(1)「日経平均、年内に3万円回復も」
(2)完全にピークアウトした中国
(3)バブル度が低い日本株は米市場のバブル余剰資金の受け皿になれるか?
(4)縮みゆく日本――暗い話題で恐縮だが……
(5)国の責任を問う原発訴訟、今年の夏に四つの訴訟に対して最高裁が統一的な判断を下す――東電株価と無縁ではない
(6)中苦労する黒田さんと円安、今回は「悪い円安」
(7)「年金は破綻しない」――これが正論であり実体である
実体を考えずに云う年金破綻の暴論に騙されるな
(8)再び年金問題
(9)ロシアへの経済制裁の金融界への影響
(10)ウクライナ侵攻と北欧2小国の動向
第3部 読者との交信蘭
かねてからの論客H様とのウクライナ戦をめぐる交信(4月25日)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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