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【投機の流儀】消費増税の強行に注意したい

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)ジャクソンホール会議(★註)のあと、やはりNYは一時大荒れ
(2)ジャクソンホール会議(★註)のパウエル発言、日本時間で先週末の23時。今後はG7に焦点が移動する
(3)逆イールド現象
(4)「相場は相場に訊け」――PCRを見る
(5)8月1日の新月の夜、米国の対中関税第4弾の表明を受けて世界的に急速に株安局面が進んだが……
(6)「2019年10月から12月期は企業収益は増益に転ずる」「したがって株価の下値は堅く、株価の上昇局面が今年末から来年にかけて訪れる」
(7)世界の銀行株が下落
(8)空売り筋の買い戻し、所謂「小型ながら踏み上げ相場」があったが……
(9)GPIFの買い持ちと日銀の買い続けと企業の自社株買いとで「国を挙げて株価操作された日本株」であるが……
第2部 中長期の見方
(1)韓国がGSOMIAを一方的に破棄してきた
(2)中長期のチャートで言えば弱気サイン
(3)「貯蓄から投資へ」が少しずつ効き始めた
(4)ポピュリストとしての手腕をいかんなく発揮しているトランプ
(5)FRBの動向と上値抵抗線を形成してしまったNY相―三尊天井の形成
(6)消費増税の強行に注意したい
(7)中国とドイツの経済指標は大幅な減速を示した
(8)「経済学の残りの半分」(The Other Half)(R・クー)
(9)香港騒動の問題――「読者との交信蘭」で掲載する部分と併読されることをお勧めします
(10)ポピュリズムが世界各国に流行っている背景
(11)野村証券株が立ち直る日は来るか?
第3部 読者との交信
(1)剣道練士(五段)のI様(山﨑註;私は四段で後輩です。四段と五段の差は大きい)との交信。(8月14日)
(2)不動産(株も)は「絶好調の『絶』で売れ」と解かれた不動産コンサルタントHさんとの交信;(着信8月17日、返信20日)
(3)「香港の騒動について」読者 Y様との交信
(4)Hさん(ゼミの友人)との「韓国外交について」の交信
筆者註;韓国がGSOMIAを一方的に破棄する前のメール
Hさんのメールに対するNさん(ゼミの友人)の返信
筆者註;韓国がGSOMIAを一方的に破棄する前のメール

お知らせ
しばらく「休場」していたラジオ日経からお呼びがかかったので、ヒマに任せて虎ノ門のスタジオに行って生放送で40分ほど喋ってきました。
「ラジオ日経 山﨑和邦」でユーチューブでご覧になれます。本稿の読者の皆さまには目新しいものはないかもしれません。首尾一貫して従来語ってきたことを語っただけですから。

第1部 当面の市況

(1)ジャクソンホール会議(★註)のあと、やはりNYは一時大荒れ
FRB連銀の一部が主催の国際経済シンポジューム、これをジャクソン会議と呼んできたが、今回は三日目の、日本時間23日(金曜)23時にパウエルの講演を市場は凝視していた。俗にいうハト派的な内容なら「材料出尽くし」だし、俗にいうタカ派的内容なら警戒感で売りが出る、という局面だったろう。いずれにしても、本来は「利下げ=景気悪化対策=株価は先行性を発揮して下がる」と言うところを「利下げ=カネ余り=株価上昇」という反対現象に出ていた。
1つのことが反対に解釈されて動くという現象は長持ちしないものだ。このことは本稿で何度も述べてきた。
NY市場の大荒れを見て日経平均の夜間先物は一時、8月6日の20111円に接近し、株式評論家の好む「PBR1.0倍は当面の下値」に接近した。
(★註1)ジャクソンホール会議
22日~24日にジャクソンホール会議か開かれた。世界の中央銀行首脳らが集う毎年8月恒例の国際経済シンポジウムである。毎年これがひと騒がせすることになる。今回もNYから荒れた。
1987年から続く、FRBの一部であるカンザスシティ連銀が主催するシンポジウムのことだ。この場でFRB議長が一席語ると株式市場は動いた。筆者の親しい友人で国際ジャーナリストが、(今はこの会議の取材をやめてはいるが)当時からこの会議に同行し取材してきた。その話を聞けば、FRB議長が金融政策運営についての基本姿勢を示すものとされてきた。パウエル氏は「長期的な利下げ局面の始まりではない」と述べている。ということは「アメリカが不況に突入するから利下げするのだ、という意味ではない」ということである。トランプはその辺のことを良く判っていない。本稿でよく言うように「利下げ=不況対策=株は先行して売られる」というのが理屈で言えば本筋である。ところが、超目先筋が「利下げ=金が出回る=株買い」というのが昨今の市場である。トランプはこれに満足している。ところが本当は「利下げ=景気下降対策」であるから「利下げの反復=株売り」であるのが本筋だ。パウエル氏その本筋を先読みして株を売られてはいけないから「長期的な利下げ局面の始まりではない」と念を押したのだ。トランプはこのパウエル発言を理解していないから快しとしなかった。
今、恐ろしいのはツイッターでトランプガ勝手につぶやくことだ。声明も議会証言でもなく勝手につぶやくからこれを誰でも読める。トランプがFRB議長への不快感をつぶやくとそれがアメリカの国策の前触れとして聞こえてくる場合がある。
トランプが8月1日に中国の追加関税を突然表明して中国人民元の下振れも相まって米中対立は激しくなった。
振れ幅の大きい相互転換になっても不思議ではない。

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