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【投機の流儀 セレクション】人口減の日本に対策あり

週刊東洋経済誌7月9日号の特集は「人口減サバイバル」である。筆者に言わせれば、この特集には決定的な方策の話しが出てこない。人口減に対する方針は筆者に言わせれば二つある。
一つは8兆円を使って出生一人に対して1000万円を配ることである。3年間で3人出生したら3000万円与える。予算は8兆円で済む。二番目の方針は移民である。この移民は別の稿で述べたように、明確なルールをつくって、そのルールに対する宣誓をさせた上で宣誓を破った場合の厳罰を事前に明示した上でどんどん移民を受け入れる。違反者は受刑者として単純労働をさせて幾らかでもGDPに資する。入国者対しては特定の集団をつくらず日本文化に溶け込むことを条件とする。そして仲間同士で話す時も日本語を使うようにさせる。文化風俗は日本のそれと調和させる。このようなことで基本的人権を侵害するという批判もあるかもしれないが、アメリカではそのようにしているようだ。

人口が減少しても一人当たりの生産性を増やせばGDPは減らない。よって一人当たりのGDPも減らない。こう説くのは吉川洋著「人口と日本経済‐長寿、イノベーション、経済成長」(中央公論社、2016年刊)であるが、これは考えようによっては縮小均衡の考え方である。人間を株券に例えることで批判はあるだろうが、敢えて言えば、流通株数を減らして1株当たり利益を増やすという自社株買いの考え方と同様である。問題を含みながらも緊張度を高め活性化した社会をつくるには移民政策の導入が必要であることを世論が受け入れなければならないのではないかと思う。
しかし、これは8兆円を配布して人口増加を図るという政策よりも今の日本の世論形成はもっと難しいだろう。低賃金では日本の魅力は薄れる。したがって、移民も不可能になる。故に、持続可能な移民政策をとるためには賃金を上げることも必須条件となる。


【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)当面の市況コメント・週明けは小確りで始まろう
(2)週末の安倍元首相狙撃事件
(3)週末は所謂「幻のSQ」で終わった
(4)日本株の「買い支え役」が入れ替わった
(5)経済運営に対する自信をなくしたFRB
(6)先週前半の市況は一部の銘柄に売買が集中して相場の先行き不透明感を反映した
(7)今の市場と対峙するスタンス
(8)善かれ悪しかれ、人が投資市場で行ってきたことをつなぎ合わせてみれば、そこに一つの人間像が出来上がる。それが自分なのだ
(9)東電の「催促相場」=東電の筆頭株主は何をモタモタしてるのか
(10)食品の6割が値上がり
(11)「健全なインフレ」は来てない
(12)日経平均では市場の細部は分からない
(13)当面の市況は、日経平均だけで見ていれば弱含みボックス相場に過ぎないが個々の銘柄別には「踏み上げ相場」が現出している――「悲観の中で生まれ、疑惑の中で育ち……」
(14)大きな潮流に乗らなければ儲けるのは難しいが、ゲリラ資金を稼働させるには個々の銘柄の動きを見ないと判らない
第2部 中長期の見方
(1)岸田政権の「無選挙の3年」に潜む危うさ
(2)参院選後の岸田人事が危ぶまれる
(3)岸田政権の「新しい資本主義」の一環としての投資枠拡大に多少の期待
(4)預貯金に眠っている「GDPの流れから漏出している部分1000兆円」をGDPの流れの中に戻すには
(5)人口減少は日本を暗くするが、これには打つ手はある
(6)人口減の日本に対策あり
(7)移民を受け入れることによって文化・風土にある種の緊張をもたらし価値観の多様性を受容して行けるし、人口減少を防ぐことができる
(8)在庫を起動点とする短期循環
(9)「日経平均、業績相場で年末3万円」説
(10)元・FRBの名議長ジャネット・イエレン、現財務長官に退任観測が浮
(11)ウクライナ侵攻は「殲滅戦」ではなく「消耗戦」に持ち込みたい米中
(12)アメリカ悲観論は正しくない。中国・ロシアの将来は暗い
(13)中国、解けない呪縛、習一強に試練の夏、世界の火種に
(14)中国経済停滞に伴う諸影響
第3部 読者との交信蘭
沖縄の読者W様との交信

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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