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【投機の流儀 セレクション】勝ち易きに勝つ

はじめに
週明けは穏健に始まろうが、ここから先は上値は重い。
出遅れていてPBRで割安銘柄に買いが入った(★註)、このように銘柄別の動きになろう。
(★註)大統領選挙直前2日と先週末と比較して目立った上昇株はPBR割安の出遅れ株だった。
28日付の日経新聞に出ている8銘柄は、そのうちの4銘柄が「動画」でも報告した筆者の買い銘柄だった。日産自(PBR0・55倍)上昇36%、日本製鉄(PBR0.5倍)27%上昇、帝国石油(PBR0・29倍)22%上昇、といった具合であった。因みに筆者は3月に買っていた分の大部分は利食いしていたが、残しておいた残株を先週で全部を売り切った。但し、筆者が売ると後は高いというジンクスあり。

何を買うか、所謂「大通り銘柄」を買う。「大通り銘柄」という用語は筆者のパートナーの石原氏が使う言葉であってそれが市場の標準語かどうかは知らないが要するに「人の行く、裏に道あり花の山」的な考え方で掘り出し銘柄を探すのではなく、誰でも知っている著名銘柄の企業価値観で見ても格安であり、罫線から見ても買い場である銘柄を買うと言う意味で「勝ち易きに勝つ」を言う。

どういう銘柄がいいか、一つの見方としてはこういう見方がある。
7月~9月のGDPの速報値で物とサービスに分ければ、輸出が前期比で年率換算51.5%伸びた、サービスは年率換算で28.6%マイナスになった。こういうことを見ると製造業の急回復ぶりが判る。コロナで直接的打撃を受けたのはサービス業であったように見えるが、部品の物流面、サプライチェーンが断絶したことによるメーカーの打撃は大きかった。このメーカーが伸びる可能性がある。しかし、株価はそれを織り込んでいる。例えば、あれほど評判の悪かった日産自動車だ。4月~6月にかけては1500億円もの巨額の営業赤字を出したが、7月~9月期は48億円の赤字にまで押し戻した収支均衡に近い。この会社はカルロス・ゴーンが就任する前1兆円の赤字を出したが、2年で1兆円の赤字を埋めて数千億円の黒字を出した復元力がある。ところが、株価はそれを既に織り込んで3月の陰の極から見て大幅に値上がりしてしまった。やはり「古の所謂、善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり」である。業績も悪い、評判も悪い、おまけにカルロス・ゴーン逃亡の話しまでついた。こういうものの「陰の極」を恐る恐る少しずつ買う、これが無難な方法であろうと思われる。今後買われる銘柄は景気敏感株であろう。例えば、日本製鉄の戻り、日本郵船の戻り、こういう「大通り銘柄」の戻りは鮮やかだった。あまり考えることはない。こういう銘柄の陰の極を買っておけば良かったのだ。これからもそういう考え方でいいと思う。「あまり考えることはない」と気安く言うが、やはり考えねばならない。
「下手な考え休むに似たり」という投資家をバカにしたような格言があるが、「下手な考え」か「上手な考え」かは結果がきめるものであって何とも言えないというのは誤りだ。やはり、考え方には自分なりの原理原則があるはずだし、自分流があるはずだ。それにこだわる必要はないが、自分流はやはり守っていた方がいいと思う。筆者は、あまり自分流ではないことをやった時に結果的に間違う。

第1部 当面の市況
はじめに
(1)株式市場は、第1幕と第2幕が幕間を入れずに連続演じられた姿
(2)バイデン政権の陣容が明らかになるにしたがって買いが入り続けた
(3)NY市場、史上最高値3万ドル台に乗せた
(4)短期個人投資家の信用評価損益率
(5)日本株が相対的に強いという状態が生まれた
(6)当面の市況:東証マザーズ指数
(7)短期的にも長期的にもやや過熱感
(8)NY株のレベル
(9)「市場内部要因の指標から見ればわずかながらも過熱感」
(10)2万6000円を再び超えた週明け、4日連騰で1000円高
第2部 中長期の見方
(1)中長期の見方:「10倍になる銘柄」を探さず、儲けやすいところで儲ける
(2)「勝ち易きに勝つ」
(3)FRBは量的緩和を継続する
(4)円高でも日本株が高いという昨今
(5)日米の株価 :アメリカは平成に入って10倍、日本は平成元年の3分の2のレベル
(6)「(年度末21年3月末)に2万6,500円~2万8,000円」とはつまらない見方だ。2万6500円はすでに先週に達して余りある
(7)弱いバイデン政権を歓迎するNY市場
(8)バイデン政権は中国封じ込めに苦労する――が、世界はアメリカのハードパワーだけではなく、ソフトパワーを信じてアメリカを西側の盟主とした。今後もそうであろう
(9)アメリカの変貌は半世紀前からあった
(10)菅政権と菅個人をどう思うか
(11)筆者の友人・ジャーナリスト嶌信彦通信より:国家観、自らの言葉で【菅政権に問う】

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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