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【投機の流儀】ロシアへの経済制裁の金融界への影響

第1部 当面の市況

(1)本稿の意味は、今こそ、ここにある、と言いたい
先週末の米国市場では、5月3・4日にFOMCを控える中、積極的な金融引き締めへの警戒、世界景気の減速懸念で急反落となった。NYダウは▲939ドル(▲2.7%)、ナスダックは▲536(▲4.1%)の大幅下落、ナスダックは年初来安値を更新した。尚、日経先物夜間取引は2万6745円、4月28日終値より100円程度安いところで取引を終えている。

月間騰落率では、2022年4月のナスダックは▲13.2%。リーマンショック時の2008年10月(▲17.7%)以来の大きさで、コロナショック時の2020年3月(▲10.1%)を上回る月間下落率で終えた。

ナスダックは、2021年11月高値(16212)から先週末安値(12315)での下落率は▲24%に達しており、2009年を起点とした長期上昇トレンドに対する終焉としての大きな調整となるか否かの正念場と捉えられる。

過去に学ぶと、ITバブル時は2000年3月高値から約2年半で▲78%の調整で過剰流動性相場の起点となった1998年アジア通貨危機時の株価水準まで戻った。今回、過剰流動性相場の起点となった2020年3月のコロナショック時のナスダックは7000水準となる。またリーマンショック時は2007年10月高値から約1年半で▲55%の調整となった。

今回の過剰流動性相場で、破壊的イノベーション企業への投資でカリスマ投資家とされたキャシー・ウッド氏率いるアークイノベーションETFの今年の下落率は▲40%超となっている。

歴史に学ぶということは人を謙虚にする。一部の「醒めたる人」は、歴史に学んでいち早くキャッシュポジション豊富にしている
相場が良い時に得られるのは「投資は簡単である」「リスクを恐れる必要はない」と言った悪い教訓ばかりである。本稿で常に言ってきた「成功は毒になることがある」とはこれである。

市場で最終の勝利者で終わるための価値ある教訓が得られるのは、いまの厳しい時期である。本稿は常に言ってきた「投資家は失敗から学ぶ」と。

キャッシュポジションを豊富に保って、「健全なる精神」の保持に努め、今こそ厳しい相場と対峙し続けなければならないと本稿では考える。本稿の意味はここにあると言いたい。

しかし、今は一方的に弱気の淵に沈むことなかれであって、具体的に現象を見ようと呼びかけたい。一口に言えば、今からは「買い場探し」であろう。

NYは12月決算が多いから配当金再投資は4月になる関係と、ファンドの持ち高再構成の関係もあってNYは常に4月は高かった。リーマンショックの後さえも4月は高かった。今回の4月安は2005年以来17年ぶりのことだ。
また、VIX指数は先週末で「32」まで来ている。我々は「20超」が「売られ過ぎのレベル」と観てきた。NYは今や超弱気の極致に近いと観たい。

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