見出し画像

【投機の流儀 セレクション】所謂「悪い円安」

2月末は1ドル115円だったものが、1ヶ月半で10円以上の円安となった。2012年安倍内閣成立後、円安が進み翌年4月黒田日銀総裁就任によりまた円安が進み、民主党時代の70円代後半から125円まで行った。その時には所謂「良い円安」であり、輸出立国の日本が儲かる円安であった。今の円安はエネルギー価格が高騰し、穀物価格が高騰し、燃料も食物も多くを輸入に頼る日本にとっては「悪い円安」となり、個人消費への打撃となる恐れがある。
4月13日黒田総裁が「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と発言したことがきっかけとなったと思う。2003年にプラザ合意の悪巧みによって240円から10年間で79円にまでなった円高を「史上最大の介入」をやって148円まで持っていったのは時の大蔵省国際金融局長の榊原英資で、榊原は「ミスター円」と言われていたが、その下で実務を担当していたのが黒田さんだった。
彼は円相場に通じている。いま金利を上がれば「悪い円安」は一旦は止まる。但し、景気を壊すことはできないから金融緩和を続けるという。 この板挟みにあっている日銀が今は一番苦戦しているところであろう。2015年6月に付けたアベノミクス時代の最安値を4月13日で下回り126円を付けたが、次の節目と言えば2002年の135円しかない。あの時は「国力を売られた円安」「衰弱する日本」を売った円安であった。
1990年から2003年まで、株で言えば3万8,000円台から7,600台まで5分の1になった。長い間の右肩下がりだった。途中で1995年に連合政権の村山首相時代に財政出動して一旦経済を立て直し、平均株価も一時は60%高したが、大勢右肩下がりにはかなわずまた下値を切ってきた。そこで1998年の小渕内閣はまた大型財政出動を行い、日経平均で言えばまた60%高をして右肩下がりの中でも中間反騰を二度大きく繰り返しきたが大勢には逆らえず、不良債権不況という大勢には逆らえず、2003年の公的資金注入まで一方的に下がり続けて13年間で日経平均は5分の1になった。この時代に国力の弱さを売って2002年に135円という円安があった。これも「悪い円安」であた。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)先週の日経平均は下値では25日線をなんとか維持し、保合いの動きへの移る気か
(2)海外勢の株の買い越し額、アベノミクス最盛期と同じ金額、7年ぶり高水準
(3)中腹圏の往来相場の中で大型低位株の東電だけが101円高
(4)東電株について
(5)ガソリン税の「トリガー条項」の発動と東電株
(6)ビギナーズラックは誰でもやるし、成功体験が毒になることさえある
(7)当面の市況
(8)「逆イールド現象」
(9)相場に大きな影響を与える機関投資家の動き
(10)動き出したか、個人金融資産
第2部 中長期の見方
(1)ウクライナ大統領の名演説‐世界を団結させた歴史的名演説――「世論戦でプーチンに勝った」――ユダヤ系ウクライナ大統領の血がスラブ民族のKGB出身の首脳を上回ったということになろう
(2)成功体験→自信過剰→傲慢→独裁者の末路は??
(3)ウクライナ戦についてのアメリカ陰謀論等
(4)所謂「悪い円安」
(5)「悪い円安」の項目に追加
(6)円安についての武者陵司氏の意見
(7)筆者の友人ジャーナリストの嶌信彦通信より要約(2022年 4月 12日 vol.304)
第3部 投資の基本的手法(目新しいことでなく基本的な手法)
(1)下値のメド、戻りのメドの付け方
(2)株価は景気循環に先行する、その実例2事例、「政策につけ」
(3)相場は過去を記憶して動く
超長期でも「相場は過去を記憶して動く」の図
(4)「後の先(ごのせん)」の考え方
(5)「分散投資」を勘違いしていませんか?」副題は「定年楽園への道 」(日経ヴェリタス)
「棚ボタを食うためには棚の下に居ろ」(筆者)
(6)誰にでもできる方法を述べればこうである。

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?