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【投機の流儀 セレクション】日本の衰退の一部に知的後退、論文数の激減

本稿では、この30年間の日本の衰退ばかり述べてきたのでお読みになる方々も、筆者もうんざりしているが、既報で論文数の激減ということを少し述べたことがある。これについて付言する。

世界で注目されるような論文が国別順位で言うと、30年前には世界3位、2000年には世界4位だったが、今は12位になった。先端科学研究の国際ネットワークから日本が無視され始めていると言うのは東京大学の相田卓三教授である(日経新聞3月5日号)。

一方、日本では博士号保有者の活用も低い。政府は巻き返しに向けて10兆円の「大学ファンド」を創設した。年3000億円を見込む運用益を使い、支援するということである。
また、論文に引用されることは「被引用者」にとっては大変名誉なことではあるが、先人の研究成果を引用する数も日本は激減した。被引用者数が分野ごとに公表されているが、首位は米国、2位が中国、3位が英国、4位がドイツとオーストリア。日本は20年前には5位だったが、今は11位に後退した。引用するに足る論文が減ったという意味である。もちろん、ノーベル賞候補の人材も減った。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)−1:市況コメント
−2:先週は、戻り待ちの密集地帯を一旦上抜けたが、そこで反落した形で週末の取引を終えた
(2)先週、一旦はTOPIXがボックス圏を上抜けたが……
(3)「マクロを鳥瞰する鳥の眼」と「ミクロに分け入る虫の眼」
(4)窓は埋めたが……
(5)QUICK調査によれば、金融政策の方向性は小幅な引き締め(63%回答)
(6)日経平均採用銘柄の3銘柄変更
(7)「惰眠の15年」
第2部 中長期の見方
(1)総理大臣の哲学と発想力と発信力の貧困
(2)外交ではベテランのはずの岸田首相だが、地政学的環境や世界情勢を踏まえた外交姿勢は必ずしも信用できない
(3)欧米は「インフレ」、日本は「物価高」
(4)「気球」と「ウイルス」についてのCIA的評価
(5)中国の海運国家への覇権志向に限界迫る─本稿で既述してきた「中国の2023年問題」は「下り始めの年」として現象する
(6)ウクライナ侵攻について
(7)30年間の日本経済の沈滞の最も基礎的な構図
(8)日本の衰退の一部に知的後退、論文数の激減
(9)コンテナ船運賃下落、世界経済の行方を占う重要現象
(10)「公的年金制度が維持できなくなる」という言い分は信じるな
(11)「逆張りの神髄」を今こそ推奨したい
第3部 投資のやり方について考える
(1)自分がやり易い方法でやる
(2)「虫の眼」と「鳥の眼」
(3)草の根を分けて探す「虫の眼」と全体を俯瞰する「鳥の眼」
(4)「投資家の損益の結果は、主として投資家本人の習慣の集積体である」

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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