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【投機の流儀】1000人の投資家はどう動いたか、及び超富裕層の中の賢人たちの動きと、昔懐かしい「1億総中流時代」

はじめに 恒例の日経20著名人のアンケート
毎年恒例の日経新聞著名20氏へのアンケートを要約し、若干の私見を述べる。昭和・平成の時代は1月3日の60年以上にわたる恒例であったが、平成になってから1月1日になった。
このアンケートはおそらく12月29日の714円高を見る前の回答であろう。概ねは自社の調査部または企画室などに意見をまとめさせ、それを点検して回答する程度であろうが、回答時には「20世紀最高値と21世紀最安値の落差の黄金分割比の戻り」というレベルでの膠着状態の最中であったろう。それにしても、意外に控え目ではある。最高が3万2,000円が1人(サントリー社長)、2番目が3万1,000円が1人(日本電産)であり、3万円が2人(信越化学と大和証券)であり、概ねは2万8,000円~2万9,000円である。年内安値は意外に、金融危機時でなければ生じないPBR1.0倍未満が2人(三菱ケミカルと東京海上)、景気後退期のレベル(PBR=1.0倍近傍)が5人であった。

次からは私見を述べる。
概ねの意見が一致した年はとんでもないことが起きた、というジンクスをこのアンケートは秘めている。典型的なのは73年正月と90年正月だった。特に90年は「当年高値は4万円以上」とする意見が一致していたが、落差は1万9,000円幅に及び、10月はじめには2万円スレスレまで落ちた。73年と90年に限らず概ねの年は20氏は「前半安の後半高」を謳う。これは設備投資をするとか事業を拡大するとかいう計画を6月末の株主総会で発表する時に後半の見通しは明るいとしておかねばならないからだろうと筆者は「邪推」している。どんな現象でも、株式相場に関係ないものはこの世に一つもない。よって日経新聞20紙へのアンケートも一つのデータとして筆者は半世紀以上注視してきたが、上記のように言えると思う。

第1部 2020年を振り返る。市場は過去を記憶して動く

(1)昨年度を振り返れば・・・
マクロの大局から見れば、世界の株式時価総額は約1600兆円増加した(経済大国日本の時価総額が2ヶ国出現したよりももっと大きい)。その結果、世界の株式時価総額は1京円(1000兆円の10倍)を超えた。日本の時価総額は経済大国に入らない位になった。
国内に目を転ずればこの間日経平均は3,787円高(年間16%上昇)で納会を迎えた。大納会の大引けとしては平成元年の大納会の史上最高値(3万8,915円)の次で31年ぶりの高値大納会となった。
また、年間の高値安値の値上げ幅は約1万1,000円となり、30年ぶりの値幅となった。大納会では史上2番目の高値で平成元年の史上最高値の次であったとはいえ、平成元年の大納会から見れば0.7倍にしか過ぎない。アメリカは30倍以上になった。

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