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AIで出力した楽曲、イラストには著作権が発生しないので注意しようね。

5年ぶりくらいのnote。最近音楽活動の数字が色々伸びてきて感謝しています。で、今回は新幹線の移動が長くて暇すぎるので時間つぶしに書きました。ざっと書いてるので読みにくかったらメンゴ。

ここ数年でAIの進化が著しく、簡単な作品なら誰でも出力できるようになりました。著作権の問題が度々問題視されますが、逆にAI生成されたデータ自体に著作権が発生するのか色々調べたのでまとめました。



クソデカデメリット:出力した生成物に著作権が付与されない


見出しの通りです。現在日本において、AIにより出力された音楽やイラストその物に著作権の付与は認められていません(文化庁公開「AIと著作権」より)こちらにも詳しく書いてくれていますが、要約すると著作権法第2条に定義されている「思想又は感情を創作的に表現したもの」という定義に当てはまらない為です。
特に芸術分野に置いては著作者の思いや感情、完成に至るための努力などが反映され、それに相当する価値が生まれます。その反面AIは機械的に学習された内容からプロンプトを元に自動生成されるのを鼻ほじって待ってるだけで、思いも努力もクソもありません。そもそもAIはラーニング元のデータが存在し、そのデータは誰かの著作物(ここ重要)です。そしてこれはブラックな話ですが、AI学習用にデータ提供しているアーティストはほぼ居ない。つまり、勝手に著作権無視してAIに学習させちゃってる可能性が高いということ。AI楽曲がYouTubeのcontentsIDに登録することを禁止しているのは、学習元の楽曲データに検知される可能性があるのと、どうしても類似する曲が生成されるので、これも検知し合ってしあうためです。

NTTdocomoビジネス「AIの生成物が「著作物」として扱われる条件とは」↓

目次5「AI・人工知能が作った音楽の著作権はない!?」も合わせてどうそ↓


出力したAI生成物そのものを使ったビジネスはコピーされても泣き寝入り


例えば、楽曲生成AIで出力した曲をまとめてYouTubeで「作業用BGM」として公開し、広告を付けて収益化したとします。動画そのものには著作権が発生しますが、曲自体には著作権が存在しません。つまり、2次配布や転載をされても著作権の侵害には当たらない。YouTubeの規約上、転載に関しては申し立てで非公開にさせることはできますが、画像を差し替えたり、数曲入れ替えたりされるだけで対象外にります。そのうえ、前述の通りすべてのAIソフトはcontentsIDの登録を禁止しています。なので仮に転載されていてもID検知できません。しかも転載を発見したとしても、「たまたま偶然、同じものがAIで生成されたので転載ではない。」という暴論もまかり通ります。実際、AIソフトによっては規約上で「他のユーザーが同じものを生成する可能性がある」と記載されています。
またイラストの場合、例えば出力したイラストをまとめて画集としてBOOTHなどで販売したとすると、”画集”その物には著作権が発生しますが、内容に関しては発生しません。つまり表紙やタイトルを変えて複製されても著作権侵害の対象外です。正直このあたりは裁判などの判例がなく、ケースバイケースなので誰か試してみてください。自己責任で。


Suno AIの場合


ではここでSuno AIの場合はどうなるか。私用の範囲であれば自由に使える無料プランと商用利用が可能なプロ、プレミアムプランがあります。
Suno AIの利用規約上では、生成した音楽に対する権利は基本的にはユーザーに帰属すると記載されています。ここでいう権利とは利用権です。いわゆるロイヤリティ。著作権が帰属されるわけでは無いということ(そもそも著作権は存在しない)。Suno側は「各国の法や制度に順守する」とありますので、少なくとも日本では著作権が発生しません。
類似する作曲AIだとMubertがありますが、こちらは規約の段階で権利は同社が所持すると記載されています。商用利用できるプランでは、権利を貸し出しているという感覚。また、規約上ではアップロードしたAI楽曲のトラブルには一切関与しないので自己責任とあります。例えば有料プランで作った曲が他人に使われようが二次配布されようが他人の曲に類似しようが我々は関与しないよ。て事。

加工すれば著作権が付与されるのか


これに関してはぶっちゃけどれほど原型をとどめているかだと思います。イラストの場合、生成されたイラストの構図を参考にオリジナルの絵を描いたり、生成物からインスピレーションを得てオリジナルで描いた場合はセーフです。彩度や明度、色相を変えた程度の加工では付与されません。
楽曲の場合は判断が難しいですが、イコライザーの調節やテンポ、キーを変えた程度では付与されません。生成された楽曲を元に自分で演奏した場合やオリジナルの歌詞を付けて完成させた場合は演奏権や作詞に対して権利が発生しますが、楽曲そのものには権利が発生しません。なので2次創作(替え歌や歌ってみた等)がある程度自由になります。また、SunoやMubertは権利侵害に厳しく、出力したデータの履歴からその曲がAI出力曲なのか判断できるそう(無料プランにも関わらず商用利用されるのを防ぐため)なので自作発言はやめましょう。このあたりは権利侵害の判例や、良し悪しの線引きがされていないため判断が難しいですが、AI生成ユーザー側が有利に事が動くことは少ないと思っておきましょう。
ただし一方では、”プロンプトの長さ次第では著作権が一部発生するのでは”という指摘もあります。イラスト生成の場合、目的のイラストを生成する場合に長いプロンプトになることがあります。ここでいう長さとは命令の長さ、表現、思想の長さです。その過程において創作意図や「創作的寄与」が認めれれた場合に著作権が認められる場合があります。
どちらにせよ音楽生成AIの場合は現状「曲の雰囲気、ジャンル」「使う楽器」「テンポやリズム」のみなので該当しません。「思想や感情を創作的に表現するためにプロンプトを入力しました☺」みたいなボケは通じないので注意しましょう。

著作権が付与されるケース


ではここでAIによる生成物で著作権が付与される場合とは、、、ですが、簡潔に言うとAIによる生成物を道具として使って別の創作コンテンツを制作した場合です。例えば
・AIで生成されたイラストを使ったゲーム
・AIで生成された音楽を使用したCMや広告
・舞台や映像作品の劇伴

上記のようにAI生成物を道具として、別の創作物を作成させた場合です。
文化庁公開の資料にも

人が思想感情を創作的に表現するための「道具」 としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、 AI利用者が著作者となると考えられます。

著作権審議会 第9小委員会(コンピュータ創作物関係)報告書

と記載されています。コンテンツの主体がAI生成物(BGMがメイン、絵がメイン)ではNGということ。


自作発言、オリジナル主張は規約違反


まぁ当然といえば当然ですが、AIで生成した作品をオリジナルと主張するのは”重大な規約違反”と、ほぼ全てのAIメーカーが記載しています。
そもそもAIが提供するコンテンツやAIモデルは、同社の知的財産にあたります。AIソフトは、開発の過程で”モデル”という機械学習元のオリジナルデータやサンプルが存在します。それらはAIメーカーがお金と年月を費やして完成させたものです(その機械学習に勝手に著作物を使われたりして訴訟問題になっていたりもする)。オリジナル発言が規約違反に当たる可能性がある例としては

・背景画をAIが生成し、その中にオリジナルのキャラクターを描いた場合
これに対し「私のオリジナル作品です。」と主張すると、見た人には「背景も自作したんだな。」と誤解が生じます。
・曲をAIが生成し、オリジナルの詩を自ら書いた場合
も同様で、これをオリジナルと主張すると「作詞作曲をしたんだな。」と誤解します。

AIで生成した作品を公開して絵師や作曲家を自称するのは自由ですが、我々本業界隈からすれば「何言ってんやこいつ^^;せや!SNSで晒したろ!」って思われる可能性もあるので注意。

ぶっちゃけ専門家にはAIかどうかわかる


わかります。イラストに関してはド素人なのでわかりませんが、楽曲に関しては余裕でわかります。まず一番の判断は楽器の音質。作曲AIのクオリティはビビるくらい高いですが、ひと昔前のゲーム機の音質です。また音楽自体楽器から生成されているわけでは無く、AIメーカーが所持しているサンプリングデータを元に生成されているため、音の余韻に独特のノイズが入っていたり、不自然にビブラートがかかったりしています。今の時代、素人が作った曲でももうちょい音質良い。あと「そこからそうはならんやろ・・・」っていう曲のセオリーというか、理論的なアレでわかる。
ノイズを入れたり歪ませたりするEDMやLo-Fiはぶっちゃけわかりにくいです。これは今後の技術進歩でどこまでわかりにくくなるか楽しみではある。


芸術家がAIを疑われないためには自己防衛おじさんになろう。


今後、AIが発達するにつれ音楽家やイラストレーターがAI生成なのでは?と疑われる機会が増えていきます。既にイラストレーターの方は疑われた方も多いと思います。疑われた際、本来ならば無視したいところですがめんどくさい人達に「無視=黒」みたいな太鼓判を押されかねません。
なので必ず各制作ソフトの作業データは厳重に保管しておきましょう。
音楽ならば各DAWのソングファイルやMIDI、パラアウトなどです。AIでは各楽器のパラアウトは現状できないので確たる証拠につながります。自己防衛おじさんになりましょう。逆に言えば作業ファイルが存在しないとかなり黒っぽいのでご注意を。

【追記】余談:ゴキブリくらい爆増したAI生成BGMチャンネルの正体


インスト曲大好きの友人が「なんか最近似たようなBGMチャンネル爆増した」と言うので調べてみました。確かに2024年2月あたりからケルト調、和風調、EDM、Lofiを中心としたチャンネルや動画が大量生成されていました。ざっと数百チャンネル以上はあり、日々増えています。どうやら正体は情報商材の中身らしく「AIで月〇〇万稼ぐ!」という教材に釣られて爆増しています。(ググったらすぐ出てきた)
何故か大手ディストリビューションチャンネルの「Lofi Girl」を「こんなに伸びます!」と紹介しAIで稼ぐノウハウを謳っているが、このチャンネルはAI生成ではない。しかしこれにつられて模倣したチャンネルが多い。

AI生成楽曲は使われていない。


各AI楽曲BGMチャンネルの構図がほぼ同じ(生成曲や背景絵、概要欄等)なので業者もしくは個人の運営で、運よく伸びたチャンネルを成長、収益化させる見込みかと思います。ほぼ全ての動画が30分以上の長尺で、1曲あたり約2分なのが特徴です。長尺なのはチャンネルを収益化する条件に累計再生時間がある程度必要で、約2分なのは現状生成AIが2分~3分*しか作れないからです。*(2024年5月以降は3分~もアプデで増えた)
特に胸熱なのは、今までゲーム動画や自作のBGMを投稿していたのに突如AI生成BGMチャンネル化した、いわゆる”闇落ち”チャンネルです。増えすぎるあまりお互いに再生数を食い合っている状態なのもウシジマくんのフリーエジェントくん編っぽくて個人的には好きです。
ただし始めに書いてますがAI楽曲そのものに著作権は存在しないので、「この楽曲の著作権は当チャンネルに帰属します。」と書いていても帰属もせず存在もしないのでご注意を。(勝手に使われたり二次配布されちゃうゾ)

AI生成BGMチャンネルの見分け方

①チャンネル開設日が2024年2月以降
②BGM動画の投稿が2023年12月以降(特に2024年2月~)突然始まったチャンネル
③SNSアカウントが無い(超重要)。もしくはSNSアカウントの開設が同じく2024年2月以降。
(SNSで告知しないBGM作曲家はほぼいない。久石譲ですらしてる。)
④SNSで作曲に関する投稿がされていない。

なぜ2024年2月を境に増えてるかというと、SunoAIをはじめとする各種音楽生成AIが大型アップデートで2分~の長さの出力に対応し、クオリティも大幅に上がったり、商用利用の有料プランがリリースされたためです。またその時期に副業収入での紹介が始まり、爆発的に増えて行ってます。

最後に


これは各AI制作メーカーが口を揃えて言っていますが、AIは効率的に独自の創造、制作を進める道具として使いましょう。

あと良ければ配信してるワイの曲聞いてね。

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ゆるーく更新していきます。