映画「聲の形」感想

昨日偶然にもテレビでやっているのを目にし, 視聴しました. アニメ化されていると錯覚していましたが, 映画版だけのようです. レビューで胸糞展開に批判的な意見が多かったので今まで避けていましたが, 今回, いい機会だったので視聴しました. 

ストーリー・世界観

小学生時代のトラウマと各キャラが向き合うという意味では, あの花と近い雰囲気を感じました. 作画や世界観が美しい点も共通しています. 一方, 幼少期に何らかのトラウマを抱えた場合に, ある種の性善説を仮定した場合があの花(や多くのアニメ・漫画作品)のような展開であり, 逆に性悪説を仮定した場合の展開が本作品と言えます. 

キャラクター

主要キャラの大半が, 現実世界にいそうな感じの嫌な奴です. ここまでリアルに寄せて, 人間の負の部分をキャラクターに反映させた作品を私は他に知りません. それ故に, 「途中で難儀しても最終的には上手くまとまるんだろう」
という多くの作品を視聴する際に胸に抱く暗黙の安心感が, この作品には当てはまりません. 逆に, 上手い具合に話が進んでいるようなシーンであっても, 各キャラクターの負の側面を利用することで「このまま上手くいくかは分からない」と常に感じさせられるような雰囲気が作られており, 妙にリアル感があります. 
そのため, 「アニメや漫画でまで現実の嫌な部分を見たくない」と感じる方にとってこの作品は厳しく, そういった意味で人を選ぶ作品だと思います. 逆に「フィクション作品であってもあまりに現実味がないと冷めてしまうため, ある程度現実っぽさも求めたい」という方にはオススメできます. 

アニメーション映画

映画版アニメは尺の関係からある種総集編のような描かれ方をすることが多く私は少し苦手意識を持っているのですが, この作品も尺不足感は否めませんでした. パーティ崩壊~主人公生還パートは, そこから復縁するまでの各キャラにおける複雑な葛藤や心理描写をもう少し見たかったです. その点では, やはり尺を稼げる1話30分のアニメとして作ってほしかったと感じるのですが, 逆に小学生編なんかは尺が短いおかげで, 原作に比べれば多少マイルドになっていたのかもしれません(原作を読んでいないので推測にすぎませんが). 小学生編は見てて結構しんどさを感じたため, 尺が短いことでプラスの面もあったのかなと感じたりしています. 

総括

人を選ぶ作品ではありますし, 私も結構見ててしんどさを感じる部分がありましたが, 終わってみればそれなりに楽しむことができました. 

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