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沈んでいく恋もある

「ヒロっていつから

私のこと好きなの??」


ヒロの部屋でゴロゴロしながら
そう尋ねた私を振り返って、見て

ちょっとだけ鼻で笑った。


「自信満々な質問だなー。」

「え、じゃあ嫌いなの??」


「いや、好きだよ。」


即答してからゆっくり
私の隣に移動するヒロ。


「会った時から好き。」


…うーん、なんかなぁ。


「65点。」

「はい、再チャレンジ希望。」


そして少し悩んでから

困った様に一人で笑う。


「なに??」

「いや…、いやー、
これは更に低い点数の予感。」


腕を組んでから

よし、と頷くヒロ。


「会った時から
気になったのは本当。

俺、インスピレーション大切にするから。」

「うん。」


「ある日、栄司と出かけた時に

美奈と元カレが歩いてて。


男は超楽しそうだった。」


…うーん??どのデートかな。

なんか嫌だな。
見られてたとか恥ずかしい。


「今のとこマイナス5点。」


「男は楽しそうだったけど

美奈はなんか、
笑顔作ってる感じだった。」


…あぁ。

それはいつもそうだったな、そういえば。


なんか変に
気を回しすぎて。


楽しいけど疲れる、


そんな恋愛だった。


「…で??
なんでそれで私に惚れるの??」


「俺のが美奈のこと
幸せにできるなって、確信した。」


言ってから、はぁ、と

ため息をつくヒロ。


「…なんでため息なの??」

「なんか嫌じゃん。
考え方、セコくね??

あいつよりは俺のがみたいなのって。」


そう笑ったヒロに

私は軽くキスをする。


「…なんのキス??」

「いや、理由はない。
いま最高に愛しく感じた。」


そしたらヒロが

もっと長いキス。


「…因みに美奈はどうなわけ??」

「…え??」


「俺のこと、

いつから好きなの??」


いつから。


なんだろうな、うーん。

ヒロの場合は

キッカケは沢山あったけど
決定打ってのはないんだよな。


「…あれ??なんか、ヒロとは
恋に落ちてないのかも。」


私の言葉に
さすがに焦りを見せるヒロ。


そんな貴方に
キュンとした自分を見つけて

あぁ、と気付く。


「ヒロとの恋はねー、


なんか、ゆっくり

沈んでいく感じ。」


眉間にシワを寄せてから

もう一回、キス。


「まっ、なんでも良いや。」


そう呟いたカレの

たまに見せるガキっぽさというか。


なんか、そういうのが

いっぱいいっぱい、あって。


気付いたらもう、

ハマってたんだよね。



沈んでいく恋もある







**


相変わらず、
美奈は難しいこと言ったけど


俺のこと好きなら

どうでも良いよ。






2011.11.19
hakuseiサマ
沈んでいく

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