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存在

ほんとにやりたかったこと
なりたかったものが何なのか
考えて探して毎日が終わる

バイトを辞めても
学校に行くのが嫌な日があっても
何もする気にならなくても

音はずっと側にいた
朝ごはん作ってくれる音
家の前の川の音
お湯沸かしてるときの音
自転車が通る音
ひとり暮らしの夜が寂しいときは
生活音とかピアノのYouTubeをずっと流してた

自分の好きな音楽が見つかるまで
YouTubeとAppleMusicで探して
休みの日が全部終わることも多かった

音楽の学校に行くのは「才能ない」って
高校生のときに諦めたけど
おばあちゃんが5歳のときから
習わせてくれたおかげで
人生の半分以上はピアノの部屋にいた

楽譜通りに弾くことはいつも途中で辞めてしまって
耳で聞いた好きだった音とか
自分が好きな音階とかを探して  
学校行く前時間なくてばたばたしてた朝も
学校が終わったあとも
暖房が効かなくてめちゃくちゃ寒くても
ずっとピアノ部屋に籠った
ピアノを弾いてる時間が1番安心した

中学校、高校で吹奏楽部に入って
コンクールに初めて行った日
ホール会場に一気になにか持っていかれた

深い赤色で2階まで並ぶ客席と
演奏中当たってると暑かったけど
客席が暗くなった後
舞台裏から見上げたスポットライトが綺麗で

ここにずっと居たいと思った

学校の授業でたまに動画鑑賞のとき
先生が教室の電気を消す瞬間があった
あの瞬間が好きで
薄暗くなった場所に映ったスライドショーの光

ジーってちょっとだけ聞こえる機械音も
暗いからばれないよ、って友達とした
内緒の手紙交換中のシャーペンの音も
なんとなく緊張感があって
でも居心地がいい曖昧な空間が楽しかった

部活を引退して卒業した後、
大学でも吹奏楽部に入部したかったけど
お金の事情で吹奏楽部を続けることを諦めた

自分の中の大事なものが消えてしまった感覚になった
何をしてても埋まらなかった

気付いたら就活シーズンになって焦って
カメラの知識は無かったけど
音楽と同じくらい写真を撮ることが好きだったから
スタジオに就職した

「それ、ごみやで」って友達に言われても
かわいい、魅力的って思うものはいつも残したくて
携帯の写真フォルダは高校3年間で3万枚超えて
いつも要領重くて電池切れしてたから
カメラの仕事、向いてるといいなと思った

カメラのスタジオで働いて
フリーでも活動した
撮った写真を見て喜んでくれるのを見ると
嬉しかったしやりがいも感じた
写真展に行って勉強することも楽しかったけど
やっぱり埋まらなかった

自分で考えてた以上にわたしは
わがままだと気付いた


誰かの写真を撮るのは楽しい
でも私も撮ってもらいたいと
思ってしまうときがあった

わたしが終わる前に何か残したい
心がずっと寂しい

就活で向いてる仕事診断をしたとき
誰かのサポートをすることがピッタリ!!って
書いてあって、そうかもしれないと思ってた

「あなたに向いている職」
    ○○、○○、○○、
どれもピンとこなかったけど、
診断が正しいと思うしやりたいこととかは
置いといて、向いてたらいいと思って頑張った

でもどんどん心がすり減ってく気がした
「自分」が毎日ちょっとずつ溶けて消えて
音楽を聴くことも、ピアノの部屋にいくことも減って
聴いてても涙しか出なくなった

このままじゃ何も感じれなくなると思った

誰かのサポートじゃなくて
わたしがメインの人生を生きたい
自分の存在を形にして最後に残したい
何をしても埋まらない

感情がぐちゃぐちゃになったとき
駅前広場にあったピアノを弾いた

周りは何にも見えてなかった

弾き終わったあと拍手の音が聞こえて
やっと駅前だったことに気付いた
初対面の人から「めちゃくちゃ良いやん!」って
言ってもらえた

ホール会場の景色が頭に浮かんだ

わたしは
才能ある人しかいけない
音楽で食べていける訳ないって
まわりの言葉が正しいと思ってた
自分自身でもそう言い聞かせて
無謀な夢なんて追いかけたら家の恥になると思った

でもどうしようもなかった
ピアノの音と拍手の音を聴いたとき
高校卒業して以来はじめて心の中がいっぱいになった

音が好き、楽しかった

行動するしか方法が無いのは分かってた
tiktokでライブ配信をしてる人や
音楽活動を頑張ろうと行動している人を見ると
喉の辺りと胸が苦しくなった
眩しかった

でも私じゃ馬鹿にされるかもしれない
アンチとか、ネットの言葉に耐えられる自信無い
怖いし、それで家追跡されて家族に迷惑が掛かったら

いろんなこと考えて
でもやりたくて応募のページとかを見ては
結局辞めてを繰り返してた

ホールが好き
音が好き
歌もピアノもオーケストラも

自分の音を残したい、

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