見出し画像

東京学生映画祭インタビュー企画 vol.2|中村祐太郎監督

こんにちは、東京学生映画祭です。
桜の開花も始まって、いよいよ春を感じられるようになってきました。進級、進学、就職、何かと忙しい年度末ですが、体調に気をつけて毎日を楽しく過ごしていきましょう!!
 
さて、先月から始まった「東京学生映画祭インタビュー企画」。第二回は第25回東学祭にて『ぽんぽん』、第27回東学祭にて『雲の屑』と2回のグランプリを受賞し、現在、映画監督、俳優として活躍を続けている中村祐太郎監督です。
学生時代の思い出をもとに映画制作に対する熱い思いを語ってくださいました!



中村 祐太郎 Yutarou Nakamura
1990年生まれ。
東京都出身。多摩美術大学映像演劇学科卒。
16年『太陽を掴め(grab the sun)』が第29回東京国際映画祭に出品され、劇場長編デビューとなる。
17年『女流闘牌伝 aki -アキ-』で商業映画を初監督する。
21年『スウィートビターキャンディ』『新しい風』の二作品が第16回大阪アジアン映画祭に出品される。
役者としても、19年『岬の兄妹(片山慎三監督)』22年『ガンニバル(Disney+)』など多数の作品で活動している。


映画作りのきっかけ

※中:中村祐太郎監督
 イ:インタビュアー

イ:まずお聞きしたいのですが、第25回東学祭にてグランプリを受賞した『ぽんぽん』は、中村さんの何本目の作品になるのでしょうか?
中:1本目ですね。
イ:1本目だったんですね!では、その1本目『ぽんぽん』を撮ろうと思ったきっかけというのはなんだったんでしょうか?
中:大学2回生の時に初めて映画を作ったんですね。1回生の時は、演劇と映画を両方学べる学科だったので、その時は両方何となく学んでいたんです。映画に傾いたのは、学期末の発表会の時、割り当て時間を決める会議の中で「中村は噛ませ犬だから、あんまりいらないだろう」みたいなことを教授に言われたんです。「そんなことねえだろ」って結局時間はもらったんですけど、その教授に舐められていたし、基本、皆に舐められていたので、目立つためにも、映画を作ろうってなりましたね。ちょうどその時、青山真治監督のゼミがあったので、さらに頑張ろうって思えたんです。同級生で脚本の木村暉くんを誘って一緒に制作しました。その1本目が『ぽんぽん』。それが評価をいただいたって感じですね。

なぜ東学祭に?

イ:なぜ東学祭に出そうと思ってくださったんですか。
中:せっかく作ったので、何かしら映画祭には出したいと思っていまして、ちょうど嶺豪一監督など、先輩たちの代で東学祭を知っていたので、そこに自分も出そうと思いました。

グランプリを受賞して

イ:グランプリを受賞されていかがでした?
中:めっちゃ嬉しかったです。かなり反響が大きくて、すぐに記者の方が大学に問い合わせに来て下さり、後日取材を受けたんです。その後、MOOSIC LABの話をいただいて、そこからまた作品を作る機会をいただきました。第25回の審査員をしてらっしゃった松江哲明監督にもよくしていただいて、君塚良一監督にも本広克行監督に伝達していただいたりしました。『ぽんぽん』を撮ってから、先輩の方々に可愛がってもらったかなって思います。

学生時代には他にどんな活動を?

イ:その後、第27回にて『雲の屑』がグランプリと観客賞を受賞していますが、それまではどのような活動を続けていらっしゃったんですか?
中:ずっと作っていました。先程、青山ゼミに入った経緯を話しましたが、『ぽんぽん』でグランプリいただいた時に取材とかを色々受けて、そこで天狗になってしまって、そこから青山さんと仲が悪くなってしまったんです。色々あって、青山さんに対するアンチ映画も作ってみたりして(笑)、大学を行きながら外部でも活動をしていました。MOOSIC LABの話をいただいていたので、三作目となる『あんこまん』という、和田光沙さんが主演の映画を作りました。
イ:その後青山さんとは、、?
中: 2019年頃に自分の監督作の『若さと馬鹿さ』という作品を、アップリンク吉祥寺で上映していた時に、外でサイン会をやっていたのですが、ちょうど青山さんも『火口のふたり』のトークショーでいらっしゃっていて、その再会が最後でしたね。久しぶりに一言二言交わして、それが最後になりましたね。
イ:青山さんとは色々とあったみたいですけど、そんな中でも最初の1本目から、ずっと撮り続けてきたんですね。
中:そうですね、撮り続けてきましたね。ので、社会性とかを身につけている時間がなかったので、その後に苦労が待ち構えています(笑)

東学祭で出会った方との思い出はありますか?

イ:東学祭で出会った方との思い出などは何かございますか?
中:第27回の時に大林宣彦監督にお会いできたのは、めちゃくちゃ嬉しかったですね。大林監督とはその後2回ぐらい会う機会があったのですが、ちゃんと覚えてくれていて、本当に感謝しています。第27回の時は、授賞式の次の日に監督作の『アーリーサマー』という作品がインだったので、ちょっと忙しかったんですけど、そこで交流出来たことは、大変ありがたく記憶に残っています。
イ:東学祭で出会った、他の学生監督の方との思い出や交流ってありましたか?
中:第25回の時に一緒だった川和田恵真監督とはちょっと前にご飯に行きましたね。K2という下北沢の劇場で川和田監督の『マイスモールランド』を上映していて、次の週から自分の『スウィートビターキャンディ』をやるってなった時、両作品のポスターが並んでいる写真を送ってくれたんです。あと、監督ではないんですけど、今プロデューサーをされていて、当時東学祭の委員をされていた、雨無さんとはずっと近しいですね。ライトな感じの付き合いで、よく遊んだりします。

映画の仕事をする上で意識されていることは?

イ:中村さんが映画に関わる活動をする際に意識されていることってありますか?
中:自分は作家でありたいと願っていて、そして作家にも評価されたいと願っています。大衆から認められ、評価されるのはすごいと思いますし、そういう作品が映画の窓口になっているかと思いますが、自分は作家からも評価されたいですね。なので、どうやって戦っていくべきかを、常日頃考えています。
 まさに今日なんですけど、ここに来るまでの電車の中で、めちゃくちゃかっこいい男子高校生が、4人でキチンと座っていたんです。多分スポーツをやっているんですかね。みんな、いい体つきで、身長も高い。こういう人たちって影響力あるじゃないですか。例えば、外資で働いていますって人とかも同じ類ですね。容姿がよかったり、社会的地位が高かったりする人は評価されるわけです。女性も同じだと思います。で、そんな人たちがいる中で、自分はどこで勝負出来るのかって言ったら、本当に面白いことを考えるしかない。でも面白いことを考えるスペシャリストもいるわけです。世間のニーズを分かっていて、そこに刺さる表現が出来る人もいる。その中で、自分は何を求められ、何ができるんだ。それを考えながら、ずっと戦っていますね。何と戦っているのでしょうか。結局自分と戦っているんですよね。ちなみに、現在絶賛サブスク中のディズニープラススター作品『ガンニバル』。こちらに私、レギュラーキャストとして出演しています。ぜひ観て欲しいですね。

今まで影響を受けた作品は?

イ:今まで影響を受けた映画や作品はありますか?
中:『3年B組金八先生』が大好きなんですよ。特に上戸彩さんと風間俊介さんのシリーズが好きですね。上戸彩さんの衝撃はすごかったです。脳裏にこびりついています。いつか金八シリーズみたいなことをやってみたいなって思っています。劇中で、話題著を紹介してくれるシーンは新しかったですね。とくに印象深いのが、金八先生の息子が白血病になった話があるんですけど、息子の部屋を整理していると、多分学校でもらったと思われる、コンドームが見つかるんです。これを1回も使えずに、死んでしまうかもしれない。そこで先生、泣いちゃうんです。そういうところがこの作品の深みでもあります。いつか僕もそんな本をかけるようになりたいですね。

今の学生映画はどうですか?

イ:今の学生映画って見たりしますか?
中:第33回には行けなかったんですけど、めちゃくちゃ面白そうですね。多分、自分が学生の時とは価値観が違うじゃないですか。そこを知りたいです。10年以上違うし、かなり変わっていると思います。僕もやりたいようにやってきたし、これからもそうだと思います。だから皆さんもやりたいようにやってみてください。そのために、東学祭って受け皿が本当に必要だなって思います。東学祭に向けて映画を作る人もいるし、僕みたいに大学でバカにされて一旗あげたいなって人もいると思うし、そんな受け皿が残っているのはすごいなって思います。また、東学祭は学生も審査していますよね。同世代の人が、自分の作品を見て素直に感想を書いてくれるということが貴重な経験だなと思います。今もその感想、とってある気がします(笑)

最後にメッセージを!

イ:最後に今の学生監督にメッセージをお願いします。
中:映画監督で生き続けるということは、どんな形であれ、その継続はとても難しいと思います。まだ、学生の頃というのは、すごく簡単に始まって、簡単に終わりやすいです。でも、どんな終幕を迎えても、絶対に逃げないで欲しいです。失敗しても、あぶれても、映画のことばかり考えていって下さい。僕の今もそんな感じです。やり遂げて、多くの人に届けている人は、かなりすごいです。なので、すごいことをやっているんだっていう自覚を持ってやってください。作品を皆で生み出す、その瞬間は宇宙の創生に似ています。この業界をもっともっと面白くしましょう。一緒に頑張りましょう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?