設計図のコピー__6_

100人の友達

あるところに、友達のいない少女がおりました。
少女は感情の起伏が激しく、ちょっとしたことで怒ったりかと思えば泣いたり、笑ったり。
それで彼女の周りにはいつの間にか人が寄りつかなくなっていました。

心配した少女の母親は言いました。
「友達は大切よ。あなたの世界を広げてくれます。ほら、学校で習った歌にもあったでしょう。”友達100人出来るかな”って。100人作れるように、頑張ってごらんなさい」
少女は「分かった」と素直に頷きました。


それから1か月が経ちました。まだ少女は独りぼっちです。
それから1年が経ちました。やっぱり少女は独りぼっちのままでした。

母親が聞きました。
「友達を作るって言ってたじゃない。どうしたの?」
すると少女は答えました。「ちゃんと100人出来たよ」

母親は驚いて、きょろきょろと辺りを見回す素振りをしました。
「一体、どこにいるって言うの?」
そんな母親を見た少女は眉を顰めると、指でちょいちょいと下を指しました。
「ここにいる55匹の蟻さんよ」

見ると、小さな小さな蟻が行列を作って歩いています。
「それから公園の鳥たちとも友達になったわ。全部で20羽」
少女は遠くを見つめて言いました。
「夜空の星たちとも友達になったわ。今は15個くらいかな。それから…」

母親はぽかんとしていました。
すると少女は笑って言いました。
「母さん、友達は世界を広げてくれるよ。友達を作りなさい」




#ショートショート
#小説

お読み頂きありがとうございます⸜(๑’ᵕ’๑)⸝ これからも楽しい話を描いていけるようにトロトロもちもち頑張ります。 サポートして頂いたお金は、執筆時のカフェインに利用させて頂きます(˙꒳​˙ᐢ )♡ し、しあわせ…!