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ロボットのレストラン

ここはロボット専用のレストラン。
店員の彼は今日も絶好調だ。

店内は広くもなく狭くもない。
漆喰の壁と床、テーブル席が4つあり、ツヤツヤとロボットたちを出迎える。
食事はまず、カウンターで注文してその場で受け取って席に着くスタイルだ。

店員はみんな真面目で料理の腕も良かった。
ただ一人、彼を除いては。

今日の彼は、アジフライを揚げながらダンスを踊っている。
「ほれ、ほれ。鯵がおどーる」
不思議な節をつけながらくりくりとお尻をふって、凄く楽しそうだ。
彼の明るさはお店じゅうに撒いて散らされる。
一緒に躍るロボットもいるほどだ。
彼目当てに来るロボットもたくさんいて、店員たちも不思議と彼が好きだった。

彼は床をふみならす。
漆喰の床は、コンコンとタンタンの響きを繰り返してやがてそれは音楽となる。
彼の歌声はロボットも人間も関係なくその耳を湿らせる。
目を瞑ると懐かしい風景がみえるようだ。

そうするうちに、彼の踊りはどんどん激しくなって、フライパンの鯵が焦げてきた。
しかし彼は気にせず唄い踊り続けている。
流石にまずい、と他の店員たちが焦り出し、ロボットたちに煙を吹いてるものが出だしたところで、突然黒服の男たちが店に入ってきた。

「バグか?」
「そうだな」
黒服の男たちは口々に言った。
やれやれ、またか。
店員たちは顔を見合わせる。
黒服のリーダーと思われる男は、ぽりぽりと頭をかきながら彼の元にやってきた。
「ありがとう、今日も助かったよ。しかしどうして君の唄はバグを発見できるんだろうね。」
バグを起こしたロボットはそのまま男たちに搬送されていった。

後に残された彼は唄うように呟いた。
「まーた、きてね」

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