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英国の総選挙結果とこれから

英国の政治のことあんまり知らないんですが、知ったかでざっくり書きます。大方の予想通り、そして得票数では予想以上の労働党の歴史的大勝でした。しかしながら、現在のUKは国庫の余剰資金がほとんどなく、労働党が得意とする大きな政府に急に方向転換をするのは難しいため、当面の間大きな政策の違いはないと思われます。

選挙の結果

メディア各社がlandslideで形容するように保守党から労働党に急激に票が移った、非常にボラティリティが高い結果でした。これの意味するところは、おそらく多数派の市民は自分の明確なポリシーに基づく支持政党があるわけではなく、明日の生活に直結する短期的な結果を求める向きが強いのだと思われます。逆に言うと、EUの現状に反して右派ポピュリズムの終了を意味する様に見えて、反対に大衆迎合的なポピュリズム的な動きをしたということであり、数年で結果が出ないと保守党に後戻りすることも十分ありうるということかと思います。それを裏付けるように、今回保守等が失った議席は労働党だけではなく自民党やUKIPから分離したReform UKにも分配されています。つまり、中道右派が空洞になって左右に分配されたわけです。

保守党の歴史的大敗の背景

端的に言って、あまり分かってないのに他責して承認を稼ぐ人に国の運営を任せると国が壊れるという好例でした。別の言い方をすると「運転が下手なバス運転手がハイウェイで悦に入って乗客を巻き込む事故を起こした」様なものでした。過去14年保守党が国を壊した結果であり、深く考えないで自律した経済運営が国をよくすると触れ込んで口先だけだったことが生活苦を招いて国民にばれた結果でした。

たとえば、今の英国は大怪我をしてもスタッフ不足で救急車が来るのが5、6時間後、電源政策の失敗で日本と同じ感覚で電気を使うと冬の電気代が30万円、手術は数ヶ月待ちといった生命に直結する問題が放置されている様な状況です。それに加えて国内第二位の都市は財政破綻状態、リズ・トラスは経済の素人で理想主義的に減税を目指しましたが、外貨準備などの政策を下支えする余剰資金がなく信用不安を招き国債、株、ポンドの同時暴落を起こしました。ジョンソン元首相が外出自粛期間中にパーティを開いて辞任に追い込まれたことは唯一、本邦と比較して民主主義が機能しているようでした。

保守党の支持者(トーリー)は「外国人は」「EUは」全て悪いというような解像度の悪い見方をしている、別世界に住んでいるような人がかなりいます。個人的には、そうした背景から制定された、普通の英国人が配偶者を呼び寄せるのに£35k以上の年収がないといけない(NHSなどのソーシャルワーカーや学校の先生など年収が£25kくらいなのでまず無理)とか、ビザを取るたびに一家族で240万円くらいのNHS代を先払い(二重課税)しなければいけないといった、良い移民・悪い移民分別なく「目隠しをして銃を乱射するような法律」が可及的速やかに無くなってくれたらと思います。

スーナックが思惑通りにいってほっとした様に見えるのは私だけでしょうか?

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