見出し画像

業務改革の目的[20240515]


昨日は、唯一無二の「業務改革の目的」について話しをした。

「経営戦略が如何に変化しょうと、現場で生産しているモノに変化が無いから私たちの業務に変革はない」

こんなご意見をいただいた。

昨日、視線を高くして欲しいとお伝えしたが、まさにここが論点になる。

生産するモノが変わらないのかもしれないが、評価指標は大いに変わる可能性がある。

「新しい品質基準」かもしれないし「オーダーから生産・納品されるまでの時間」かもしれない。

より厳しくなるのか?

それは戦略がいかに変更になったかで変化する。

私の経験では、現場の作業が変更になることは極めて稀である。

しかし、管理職たちの仕事が変化する可能性は極めて高い。

なぜなら、管理指標が変更になるからだ。

なぜ管理指標が変更になるかは、明日か明後日に説明したいと思うが、かなりの確率で管理職の仕事の仕方は変わる。

管理指標が変更になるとは、以下の様なことを言う。

とある外資系企業の営業業務変革が実行された。

従来は、営業の仕事と言えば「新規開拓」「既存顧客の保全業務と深耕開拓」を同時に実行する必要がある。

「新規開拓研修・売上がゼロです」なんてことがあってはならない。

従って、俗に「開拓ノルマの3倍のパイプラインを常に作っておけ」と言われたりする。

この外資系企業では、新規開拓で顧客発掘、顧客育成など契約以前の担当をインサイドセールスに切り替えるという業務変革を実行したのだ。

インサイドセールス部隊は、マーケティング本部に所属することが決まった。

営業本部は本社営業部、(全国の)営業支店が所属している。

仕事は、既存顧客の保全と新規開拓が中心で、インサイドセールスからの指示で契約活動の時だけは新規顧客の元に出向くのである。

「営業」の仕事は一気に楽になったし、結果的に効率も上がった。

そして営業課長以上の仕事は、プレイングマネジャーから営業員の育成に重点が置かれるようになった。

売上高とか利益率の相対的な重要度は一気に下がったのである。

プレイングマネジャーとは聞こえは良いが、自ら営業成績を上げることに重点が置かれていたので、自分が如何に走り回るのかが、自身の仕事の出来・不出来を決めていた。

そもそも以前はチームの売上高・利益額だけ達成していれば誰からも後ろ指を指されることはなかった。

「そんなのは外資系企業だから出来るのだよ」

いやいや、論点がずれている話をしないで欲しい。

経営戦略が変更されると現場の作業そのものが変化するよりも管理職の業務や価値観までもが大きく変わるのだ。

ちなみに、その外資系企業では営業の管理職員は3割ほど会社を辞めていった。

販売ノルマを自ら持たなくなるとコミッションが減るからだと噂に聞いたが、正直なところは「人の上に立って指揮・指導」することがメインになると「普通の成績」に成り下がってしまうのが嫌だったのではないかと推測された。

一流のプレーヤーが一流の監督になれるのか、という話は様々なスポーツでも聞く話である。

管理職の仕事が一番変化することに気付かないで「業務改革」に着手する企業は多い。

上記の例では個々の営業員の業務作業は基本的に変わらない。

たった一つ新規開拓をしなくなったことを除いて。

この営業業務改革の例は、たまたまだと思うだろうか?

わが国において業務改革が失敗することが多い理由は、管理職員の教育が放置されるか十分では無いからだ。

明日もこの続きを。

合同会社タッチコア 小西一有

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?