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業務改革って何ですか?[20240626]


今週は、企業の「業務改革」最前線からという話をしていたら、こんなご質問をいただいた。

「業務改革って何ですか?」
「当社は、日々是改善と言い毎日のように大なり小なりの改善を続けています。これを何年か続ければ振り返ってみるとイノベーションを創出するほど変化しているのだと教えられてきました」

一瞬、目を疑ったが続いてこのように書いてあった。

ご質問の主さんはこの企業に勤めて20年くらいの方のようだが、質問をしてみた。

「記憶にある限りで良いのですが、中期計画の方向性に大きな変化があったことはありませんでしたか?」

いただいた回答はこうだ。

「売上や利益などが格段に増加した年はありました」

やはり目を疑ったので、ここで業務改革の意味を説明したい。

現在、弊社にてBA養成講座を受講中の企業さまは100年に一度有るか無いかの戦略大変革をしようとしている。

日本を支えてきた基幹産業だ。

高品質製品を安価に製造して販売するのがビジネスの基本である。

如何に高品質に設計するのか、如何に安く生産するのか。

如何にタイムリーに納品するのかなど、今までのビジネスの価値観であれば最優先すべき課題はこの辺りの話題だろう。

企業内の隅から隅までこのような価値観が染み渡っている。

何故、100年に一度の改革と言うのかというと、サステナビリティに関する方向性と目標を打ち出したからだ。

日々是改善では、こういう大変化には絶対に追随できない。

会社が創立して以来ずっと、上述のような今までのビジネスの価値観で企業運営されてきた。

そして今、サステナビリティに関する施策が最優先だと言われても現場は舵切り出来ないのだ。

高品質製品を生み出すための設計は、主に設計部とか開発部が主管部署になっていたことだろう。

安価に生産するという件は、調達部や製造部、品質管理部門などが主担当として関与していた筈だ。

しかし、サステナビリティについては全社が一致団結しなければならない。

今までの品質やコストに関することは無視して良いのかというとそうではない。

今までの目標はそのままで、更にサステナブルに関わる目標を同時に達成しなければならないのである。

サステナブルに関わる目標達成が第一優先だと同社の戦略の書には明記してある。

「売上や利益に直接的に影響が無いのに最優先とは納得出来ない」

そういう声も聞こえているそうだ。

この企業とは業界は違うが、米Apple社では同社製品のサプライチェーンで2030年までに100%カーボンニュートラルを(マーケットに対して)約束している。

ちなみにApple社はファブレス(生産工場を持たない)企業として知られている。

つまり、Appleが100%カーボンニュートラルを宣言した同社から製造委託を受けている企業は、その通りにしなければ仕事はなくなるということになる。

この事例の企業も、目先の売上や利益の話をしている訳ではない。

だからこそ経営戦略(=中期経営計画)に反映されているのである。

このような戦略大変革は、どの企業にもいつか到来し、中期的かつ全社的に取り組むべき施策だ。

これを業務改革と呼ぶのだが、ご質問者の主さんに上手く伝わっただろうか。

合同会社タッチコア 小西一有


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