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個々の役割を繋ぐのが情シスの仕事[20240604]


企業の戦略目標を達成させるために情報システムは存在する。

この話をすると、昔々にこんな質問をいただいたことを思い出す。

「弊社の売上高・経常利益のうち、情報システム部門が貢献したのは如何ほどか計算する方法を教えて欲しい」

答えは「計算方法は無い」。

既にお気づきの方もいると思うが売上高も利益も「全社で達成したもの」である。

社長の目線で見てみれば「当社の全社員が一丸となって達成してくれた結果」としか見えてない。

例えば、営業部だけ頑張ったとしても当該財務数字は達成しない。

もちろん、開発部だけでも答えは同じだ。

各部署・部門が貢献をアピールしたい気持ちはわからなくもない。

しかし正しく貢献出来たかどうかは財務数字ではない。

ビジネスプロセスの担い手となってエンドツーエンドで達成すべき目標に対して正しく貢献出来たかどうかという判断は可能かもしれない。

業務改革はビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)だという由縁はここでも発揮される。

戦略目標が変化すれば各プロセスで達成すべき指標は変化して当然であり、個々の目標に対しての貢献度は明示可能かもしれない。

ただ、気を付けたいことは、変化のスピードであったり、前後のプロセスとの整合性を取るための協調行動だったり、様々な観点での評価も必要となろう。

最終的な目標だけ帳尻合わせをしてもダメだと言うことだ。

企業は人間で言えば一つ一つの細胞が集まって身体が出来上がっている。

「組織」という言葉は身体でも企業でも同じ意味だ。

個々の細胞は相互に影響しあって組織全体で成果を達成するのである。

細胞の一つ一つに貢献を求めるのは無理というものだ。

例えば、臓器という単位にしても成果に対する貢献度を定量化するのは、はやりナンセンスだろう。

情報システム部門の貢献は、ビジネスプロセスを設計して、個々のプロセス毎に「目標」を設定しそれらがスムーズに連携できるように情報システムを構築し運用したかどうかが評価のポイントだ。

何回も言うが、デリバリすることが目標ではない。

ビジネスプロセスを如何に上手に(設計し)実装したかである。

情報システムは、誰が何と言っても「機械化」する道具だ。

しかし「ユーザーの便利」にだけフォーカスしてはならない。

フォーカスすべきは絶対的に「経営戦略」である。

目的なのか手段なのかは、イソップ寓話の「3人のレンガ職人」でもお馴染みの話だ。

情シスの現場では、大聖堂を建てている自覚があるだろうか。

正しく「大聖堂を建てたら街の人々の安寧を得られる」と言うまで自身の目標に持てるだろうか?

人々は大聖堂で祈りを捧げる司祭・司教だけに感謝しているのではなく、大聖堂を建ててくれた職人への感謝も忘れないはずだ。

合同会社タッチコア 小西一有

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