社内SEの価値は情報システム運用の価値ではない~経営に資する活動が価値を生み出す~[20240215]
社内SEの仕事は「IMDの国際デジタル競争力ランキング」に影響するのか!?
「小西さんは、国際ランキングに影響を及ぼすような仕事でなければ価値が低い言うのですか? 」
そう問われそうだが、一義的にはYesと回答したい。
勿論、真摯に仕事をすること自体に価値が無いとは言ってはいない。
コストを掛けないように高いパフォーマンスを発揮しようと本気で取り組んでいる皆さんの姿には頭が下がる。
そういえば、医者からイノベーションを生み出すことが難しいのだそうだ。
患者の病名を診断するために検査に次ぐ検査を実施。
病名が確定したら『マニュアル通りの治療』である。
マニュアル通りの治療でなければ「健康保険適用」がなされないからだ。
確かにこれでは、イノベーションは起きないように見える。
社内に設置されているパソコンなど情報システムリソースはハードウェアにしろアプリケーション・ソフトウェアにしろ不具合が発生することが多い。
「助けてください!」と言われて社内SEは現場に飛んでいく。
現象を確認して(医者で言えば検査に次ぐ検査をして)、不具合の原因を特定し(病名を付け)たら、マニュアル通りに修復をする。
何だか、医者の仕事の仕方に似ているような気はしまいか。
本来、不具合の発生内容は全社的に記録・分析され、発生頻度を下げる若しくは発生しないように措置を検討・実行しなければならない。
パソコンたちには不具合は必ず起きる。
しかも、概ね現地で様子を見なければ原因がわからないことが多い。
処理は、あくまでもパソコン本体で行われているからだ。
ここが、汎用機の端末(ワークステーションやダム端末でも)とは違うところだ。
私の経験だが「ダム端」から「UNIX W/S+エミュレータ」へ、更には「WinNT+エミュレータ」へと全国6,000台規模の切替を行ったことがある。
正確に言うと「ダム端」は3,000台くらい、「UNIX W/S+エミュレータ」の時は4,000台くらいだった。
この時には「第三次(大惨事)オンラインシステム」と呼ばれていた。
「WinNT+エミュレータ」の時は6,000台に増やした。
概ね1人に1台の体制を作りたかったからだ。
「WinNT+エミュレータ」環境に移行する時は、端末の不具合が心配されたのでサポート体制を如何にするか、半年以上の実験と議論を重ねた。
可能な限りITサイドの運用担当の負担を減らしたかったからだ。
6,000台の端末は、本社(3~4箇所)に2,000台と全国(北海道から鹿児島まで)130支店に4,000台が設置された訳だから現場に飛んでいく社内SEが必要な体制だと運用現場が大爆発を起こす。
結果的に、社内SEと呼ばれるような人員は配置する必要が無いように運用を設計した。
時代が違えば社内SEは必要だったのかもしれないが、現場の御用聞き+トラブルシューターが全国に何人必要だったか考えるだけでもぞっとする。
社内SEの仕事はトラブルを治癒することで現場からは感謝される。
プライドは保たれるし価値を発揮しているように感じるだろうか。
私の疑問は、それは「国際デジタル競争力ランキング」の順位を押し上げる仕事だろうか?ということ。
キャリアアップを如何にするのかも考慮すべきだし、価値の高い仕事に転換していく努力も必要だ。
「現場で喜ばれている」が「経営にとって価値の高い仕事」とイコールとは限らない。
ITの仕事を貶めるようなトラップに掛かってはならないのだ。
合同会社タッチコア 小西一有
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