「美は何気なき所にも、静かに存在する」猪熊さんに学ぶ、いのちと芸術
※「ハニカムブログ 」2018年4月14日記事より転載
猪熊弦一郎さん、という画家に出会った。
彼は「美は何気なき所にも、静かに存在する」とおっしゃる。
といっても、もう亡くなられているんだけど。
こんなに素敵な方がいらっしゃったのを、知らずに生きてきた。
「画家は自分のすきなもの、愛しているものをよく絵に書くんです。愛しているところには美があるからなんです。愛情と美ははなれることができません。」
というご自身の言葉そのままに、猫と妻を愛し、身の回りの小さなものを愛し、パリやNYの街を愛し。
その時出会ったものに強く影響されながらも、自分の絵を書き続け、たくさんの人に慕われた人生。
「猪熊弦一郎のおもちゃ箱」という本を開くと、そんな「猪熊さん」の心ほころぶような作品と、やさしく純粋な生き方が溢れてきて、幸せな気持ちになる。
この幸せな出会いをくれたのは、坂本美雨ちゃんと、東大病院循環器内科医師の稲葉俊郎先生。
実は二人とも良く知っている人で。
トークイベントで共演すると聞いて、銀座シックスの蔦屋書店まで飛んでやってきたのでした。
音楽やはセラピーになるものであり、セラピーは音楽のように奏でるもの。
音楽だけでなくて、芸術すべてがそうであると思う。
芸術もセラピーも、肉体、精神はもちろんのこと、それらを超えた微細なエネルギー領域や、魂の根幹に働きかける。
そんな気持ちをずっと持っている私にとって、美雨ちゃんと稲葉先生が出会うというのはかなり特別なことだったのです。
美雨ちゃんとはレコード会社に勤めていた頃からもう20年の付き合いで、なんというか親戚のお姉さん枠(笑)
その歌声が「癒し」と言われるのは20年前からだけど、少女の透明感から母となった今の豊潤な含みのある今の声まで、声という肉体そのものの楽器を、良い形で熟成させてきている。
そして、芸術家が「向こう側」と繋がった瞬間に魔法のような作品が生まれ、そこに癒しが伴う、ということをアーティストとして体感的によく知っている人。
稲葉先生とも、もう5、6年になるんじゃないかと思うんだけど、一緒にギリシャ古代神殿医療の遺跡をめぐる旅をしたこともある。
医療従事者ではないセラピストという立場で「心、身体、魂も含めた真の健康」に対して何ができるのか。。。というモヤモヤした気持ちを抱えていたときに、「いのち」を極限を知る医師という立場から「心と身体のつながり」について教えてくれた人。
ご著書の「いのちを呼びさますもの」で1章を割いて触れているように、「医療と芸術」というものについて、深い想いを持っていて。
それは一人で「セラピーと芸術」について考えていた私にとって、心底共鳴する福音となった。
二人のおかげで出会った猪熊さんが、「美術館は心の病院である。」と言っていたというのも興味深い。
やっぱり芸術と癒しには深い関係がある。
猪熊さんはとにかくたくさんの猫を描いていて、猫についても面白い考察を稲葉先生がしていた。
「猫、はその人の魂の投影的なところがあって。臨床の中で患者さんに夢を聞くと、猫がかなり出てくる。猫は魂との関係性を取り戻す糸口だったり、あの世とこの世をつなぐ存在なんじゃないかと思ってるんです。
猪熊さんの展覧会で猫に囲まれたら、皆さんの無意識も活性するんじゃないでしょうか(笑)」
実は、つい最近まさにそんな「猫の夢」と、それにまつわるおもしろすぎる正夢体験を聞いたばかりで、まさにシンクロ!
その秀逸すぎる話は、きっとその夢の主がなんらかの形で世に発信すると思うのでいまはナイショにしておきます。
「今、あなたたちの身の回りにある常識的なことに、もう一度目を向けて考えてほしい。そこにあらゆる秘密が隠され、美しさがあるのです。」(猪熊弦一郎)
きっと、「いのち」の秘密も。
身の回りに、その中に宿る美しさの中に。
■ 小松ゆり子 official web site
http://yurikokomatsu.com
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